即戦力希望の企業と新卒社員の意識ギャップが生まれる理由

採用

「即戦力希望!」というワードは求人でよく見かけますよね。しかし新卒にとって「即戦力」となることは簡単ではありません。

新卒入社の社員を即戦力として扱うことのリスクと、入社後、企業と新卒で意識のギャップを生まないための採用のコツを紹介します。

即戦力になりたい新卒はいない

企業の中には新卒の時から即戦力として計算したいと考えているところもありますが、新卒からするとそれは大きな負担となります。

限られた社員の中で実績を上げていかなければならない企業にとっては新卒であっても結果は欲しいところですが、それを期待し過ぎると新卒とミスマッチを起こします。

まず新卒にとっては学生生活を終えて社会人になるというのは人生最大と言っていいほどの転換期です。生活習慣は一変しますし、人付き合いもまったく変わります。

そんな激動期では新しい生活に馴染むことが大切になり、自分のことで手一杯というのが新卒の本音です。仕事もミスをしないでついていくのに必死であり、そこに加えて成果まで求められてしまってはパンクしてしまいます。

ストレスも抱えやすい状態ですので焦って結果を出そうとすることは精神的に大きな負担となります。

希望を持って入社してきた新卒は、仕事を頑張ろうという気持ちは持っています。ですが現実的には社会人に適応することは簡単ではありませんし、仕事を覚えるのも大変です。

少なからず自信喪失しやすい時期に会社から即戦力になっていないことを指摘されるとさらに傷つくことになります。

自分でどうにかしようと試行錯誤している新卒に大きなプレッシャーをかけられるのは辛いことです。「計画的に、着実に成長したい」というのが新卒の本音です。企業は新卒に対して、寛大に待つ姿勢が求められます。

会社が即戦力を求める背景

会社も業態や社風によっては新卒でも即戦力を求める場合があります。

例えば人材が不足している専門的職業や資格を必要とする職業の場合は新卒であっても育てている余裕はないので、すぐに戦力として数えなければなりません。それらの業態以外で新卒を即戦力として数える会社は少し社内の風潮を見直す必要があると言えます。

また、新卒を即戦力にしたい会社で多いのが人材難の会社です。必要とする社員が足りていないので新卒であっても戦力として計算しないと成り立たなくなってしまいます。

業務拡大の一環でまだ人が足りていないという事情であれば問題ありませんが、そうでないのであれば欠員が出ている状況に問題があります。離職者が多いから常に人数が足りないということになります。

さらに、社員を結果でしか見ていない会社の場合も、社員の年齢などは考慮しないので「お給料を支払っているからには即戦力であって当然」という考えを持っています。

こうした会社の場合は即戦力になる社員だけを残して後は切り捨てていってしまうので、即戦力の可能性ありきで採用活動を行います。経営の思わしくない会社も同様で、本来中途採用で即戦力を求めたいところですがそれに見合った条件を提示できないことが多いです。

そのため低い給料で雇える新卒を研修コストをかけないで即戦力として計算しようとするのです。

欲しい「戦力」を明確にすることがポイント

「即戦力希望」は新卒採用において特別珍しいわけではない常套句ですが、即戦力希望を示すだけでは曖昧過ぎて新卒者が戸惑ってしまいがちです。

即戦力とはいったいどういうことなのか、求めているスキルを人材を募集する会社側はわかりやすくはっきりと明示しなければいけません。どのスキルを有していたら即戦力になれるのかを明確に示すことが、新卒者からの理解を得るのに最も合っている伝え方です。

また、求めているスキルを新卒者にただ明示するだけではなく、そのスキルを持っていたらどんな働き方になるのかをきちんと反映させて伝えることが大切です。

売り手市場と呼ばれている新卒者のリクルートですから、売り手である新卒者側の求める働き方を用意しなければ残念ながら興味を向けてはもらえません。

会社側は選ぶ権利を有していますが、同時に選ばれる側でもあるということを忘れないようにしましょう。

単に即戦力希望だと会社側の理想を押し付けるだけでは、即戦力になってくれる新卒者はやって来てくれません。求めているスキルが何でどのスキルを有しているとどんな働き方になるのかを具体的に示せるか否かが、即戦力になる新卒者を集められるかどうかに大きく影響します。

まとめ:新卒社員に対しては「急がば回れ」が成功の秘訣

新卒に即戦力としての働きを求めることは、プレッシャーを与えることに繋がり、離職などのリスクが高まります。

社会人1年目が誰もが通る道。焦らせることなく、「急がば回れ」の精神で接することが新卒を着実に育てるコツです。ぜひ実践してみてくださいね。

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