法律上、求人票に記載が必要な項目・記載してはいけない項目

採用

新卒・中途にかかわらず、新たな人材を採用する際に求人票は欠かせません。記載されている内容によっては、採用活動に大きく影響するものとなるはずです。企業側からすると、自社の魅力をふんだんに詰めこみたくなりますよね。しかし、法律上、どんな内容でも記載できるというわけではありません

今回は、求人票を作成するにあたって記載が必要な項目と記載が法律で禁止されている項目をご紹介します。法律にのっとった求人票を公開することで、求職者にとっても信用度の高い企業という印象を与えることができますよ。

「求人票」の定義とは?

「求人票」と聞くと、おおよそのイメージがつく方が多いのではないでしょうか?ひとことで表すと、企業が採用に向けて作成する労働条件を示した書類です。ここで重要なのは、「記載される内容は職業安定法によって定められている」ということ。そのため、求人票は職業安定法で決められた内容にもとづき、作成を行っていきます。逆にいえば、法律にのっとっていない求人票は、原則認められないため注意が必要です。

なぜ求人票の内容が法律で定められている?

前述した通り、求人票は職業安定法で定められた内容にもとづいた作成が義務付けられています。なぜこのような内容が法律で義務付けられているのでしょうか?それは、求職者の労働環境を守るためといえるでしょう。上記が定められている「職業安定法」(「e-Gov」参照)は、労働者の雇用の安定や職業選択の自由を保障し、労働者の環境を守る法律です。

仮に、企業側が好きに求人票を作成できたらどうなるでしょうか?きっとマイナス面は記載せず、プラス面を大いに盛り込むはずです。それを見て応募・入社した求職者は、求人票とのギャップに落胆してしまうのではないでしょうか。

また、企業と求職者との間にミスマッチが起これば、わざわざ採用した人材が辞めてしまうかもしれません。そうなると、企業側にとっても採用コストがかさんでいくだけです。企業・求職者間のマッチング度を高めるためにも、求人票の基準をある程度法律で定めることは必要不可欠といえるでしょう。

記載するべき具体的な項目

ここでは、記載するべき具体的な内容をご紹介します。法律では、以下の6つの項目の記載が必須となっているので、必ず求人票に盛り込むようにしましょう。一方で、ハローワークを利用せず求人サイトや求人誌などに求人票を掲載する際は、以下の項目6つを記載必須とする法律はありません。しかし、求職者と企業間のミスマッチを防ぐにも有効な項目となっているので、できるだけ記載することをおすすめします。

【具体的に記載するべき項目】

  1. 業務内容
  2. 労働契約期間(雇用形態)
  3. 就業場所
  4. 始業及び就業の時刻・所定労働時間を超える労働の有無・休憩時間及び休日
  5. 賃金額
  6. 健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の適用に関する情報

以上6項目が、ハローワークで求人票を出す際に義務付けられている内容です。業務内容に関しては、「職場環境を含め、可能な限り具体的かつ詳細に明示すること」と定められているので、付随業務に関しても具体的に明記することをおすすめします。よくある失敗例としては「一般事務とあったのでデスクワークだけだと思ったら、たまたま免許を持っているという理由で月に数回社用車での業務も追加された。しかし、ペーパードライバーで社用車の運転が不安だ。」といったミスマッチです。このような事態にならないように、付随業務の発生が考えられる場合には、必ず注意事項として記載するようにしましょう。

就業場所の記載にも注意が必要です。たとえば、支店での求人なのに就業場所に本社の住所を記載してしまい、面接当日に求職者が驚くという話をよく耳にします。面接は本社であっても、求職者が業務にあたる勤務地を必ず明記してください。

また、次に失敗しやすい項目が「所定労働時間を超える労働の有無」です。つまりは残業の有無を示しているのですが、平均残業時間が明記されていないためにミスマッチが起きる場合があります。賃金項目に「固定残業代20時間分支給」とあったため、残業は月20時間ほどだと考えていたら45時間ほどだったというケースです。なかなか残業時間に関して求職者は聞きづらい面があるため、求人票に記載しておくととても親切かつ好印象。普段は残業がないが繁忙期だけ20時間ほどある、といった場合も具体的に記載しましょう。

記載が禁止されている具体的な項目

次に、記載が禁止されている項目について、失敗例を交えながらご紹介します。細かく禁止事項が決められているので、法律違反にならないよう細心の注意を払いながら求人票の作成を進めてくださいね。

【具体的に記載してはいけない項目】

  1. 募集している性別、または性別が限定される表記
  2. 募集している年齢、または年齢が限定される表記
  3. 特定の人を差別・優遇する内容
  4. 実際と異なる誇張・虚偽の内容

主に、上記4項目は記載が禁止されている内容です。これらはそれぞれ「男女雇用機会均等法」「雇用対策法」「労働基準法」「最低賃金法」(「e-Gov」参照)などで定められている内容に準じ、禁止されています。求人票を作成する際には、上記項目にあてはまる内容がないか、何度も確認しましょう。内容によっては企業のモラルを問われることになりかねないので、慎重な対応が必要です。以下の表をぜひ参考にしてみてください。

【表記参考例】

 NG表記OK表記
 ①募集している性別、または性別が限定される表記 主婦歓迎主婦(夫)歓迎
女性募集女性活躍中
看護婦看護師
営業マン営業職経験者
男性のみ説明会開催男女ともに同一の試験
男性:3名、女性:4名募集募集人数:7名
②募集している年齢、または年齢が限定される表記 20代募集20代活躍中
35歳までの方(※1)年齢不問
学生限定学生歓迎
45歳以上の方のみ筆記試験全員同一試験を実施
③特定の人を差別・優遇する内容 外人、後進国外国の方、発展途上国
●●県在住の方限定居住地は問わない
色盲色覚障害の方
●●の能力が高い方●●を活かしながら業務ができる方
実際と異なる誇張・虚偽の内容好きな書籍はすべて購入可能資格取得に向けた書籍購入制度あり
賞与最大8ケ月分前年度賞与:5.21カ月分

1長期勤続によるキャリア形成のため、若年者を期間の定めなし募集・採用する場合は、その旨を明記することで年齢制限の記載が認められる場合があります。

法律違反を犯した際のリスク

ここでは、「記載NG表現を使ってしまった」「記載すべき内容を忘れてしまった」といった際のリスクについてご紹介します。故意ではないにせよ、法律違反と認定されてしまうと罰則が課せられる可能性があります。

2018年に改正された「職業安定法」では、労働条件に変更があった際にすみやかな通知が義務付けられたり、労働条件の保存義務が課せられたりといった変更点がありました。これらに加え、求人を行う企業に対する罰則制度が新設されたのです。「職業安定法65条8項」では、求人票に虚偽の内容が認められた場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられるという記載があります。仮に罰則を受けてしまったら企業自体の信頼を失うことになりかねませんので、求人票の作成は慎重に行うのがベターでしょう。

「求人票」を書くコツ

これまでご紹介したように、求人票の作成には多くの記載事項が存在します。しかし、いざ記載事項に留意しながら作成を進めると、どこか味気のない求人票になってしまいがちですよね。そこで、求職者に刺さる求人票の作成ポイントをご紹介します。ぜひ、参考にしながら会社の魅力がつまった求人票を作ってみてくださいね。

【ポイント①:業務内容はできるだけ詳しく】

求職者に対して、最も簡単に仕事のイメージを持ってもらえるのが業務内容です。ここの内容が不十分だと、どんなに社員が魅力的で福利厚生が整っていたとしても、求職者は自分が働くイメージを持ちにくいでしょう。例えば、募集職種の1日のタイムスケジュールを記載することで、具体的な仕事の流れを想像できます。素敵な社員の写真とともに掲載すれば、一緒に働く人の雰囲気も感じられるので、とてもおすすめですよ。

【ポイント②:他社には負けない強みは目立つ部分に】

どのような企業にも、その企業ごとのカラーがあります。例えば、創立数年のベンチャーであればスピード感を持って仕事に臨めるでしょう。一方で、創立80年の企業であれば、安定した基盤の上で自分のスキルを磨けるはずです。このように、自社の特徴となる点は、求人内容のトップの方に持ってくると効果的です。自社にしかない設備や制度、独立支援の実施など、きっとアピールしたい部分はあるはずです。「自分が求職者だったらどんな強みのある企業に行きたいか」を考えながら、ぜひ試してみてくださいね。

【ポイント③:キャッチコピーにこだわる】

求職者が最初に目にする求人票の項目は、「キャッチコピー」です。どれだけすばらしい内容を記載していても、目に留まらない文言だと求人票の中身を見て貰えません。そのため、必ずキャッチコピーにはこだわってください。最も大切なのは、募集している層とマッチしているコピーかどうかという点です。おしゃれな表現や文学的な文言はいりません。求人票で何より重要なのは、分かりやすいかどうかということです。

例えば、ベンチャー企業で若手×人柄重視×キャリアアップ可能なルート営業職を募集したいとします。

《NG例》

勢いのあるベンチャーで営業としてキャリアアップ!未経験でも活躍できる職場です。風通しのよい当社で、一緒に働きませんか?

《OK例》

創業から5期連続増収増益!人柄重視のルート営業職で未経験からキャリアアップしませんか?チーム全員20代と、意見の出しやすい職場です!

上記を比べてみると、OK例の方がより具体的な表現になっています。漠然とした表現は求職者にイメージを与えづらいので、できるだけ詳細な内容を盛り込むよう心がけましょう。

まとめ

求人票を作成するには、法律で定められている記載事項・禁止事項を加味しながらの慎重な対応が必要不可欠でしょう。虚偽の求人広告と認められてしまうと、罰則が課せられるので注意が必要です。

求人票の作成にあたっては多くの規定がありますが、その中でも内容を具体的に記載することで、自社の魅力は最大限にアピールできるはず。工夫を凝らした求人票を作成し、ミスマッチのない充実した採用活動を実現してくださいね。

この記事を書いた人
よしたかあしょう

新卒で人材営業を経験のちに、文章の楽しさにめざめライターへ転身。音楽系メディアや地域情報誌(フリーペーパー)での執筆を経たのち、サイト制作でCMSライティングを学ぶ。現在は、人事・経営関連の記事を中心に執筆中。

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