マトリクス組織とは?メリット・デメリット、導入のポイントを分かりやすく解説

組織

マトリクス組織とは、従来の「職能別」の組織形態に「事業(プロジェクト)別」の軸を組み込んだ組織形態のことを指します。

この記事ではマトリクス組織の詳しい説明やメリット・デメリットについて解説します!

この記事を読んで、上手に運用できれば効率的に成果を上げられるマトリクス組織の基本知識を身に付けましょう。

マトリクス組織とは

マトリクス組織は指揮系統を縦軸と横軸で組み合わせた多元的な人事の組織形態を指します。

より詳しく説明すると、一人の社員が複数の部署に属して事業を進めていく形態や、従来の「職能別」の組織に横断的な「事業」を交差させた形態のことです。複数のプロジェクトを同時進行で行いながら達成するビジョンで、一人の社員に対して上司が二人以上いる事になります。

マトリクス組織の3つの型

マトリクス組織は、責任者の配置の仕方によって、【バランス】【ウィーク】【ストロング】といった3つの型に分類できます。

バランス型

バランス型は、責任者をそれぞれプロジェクトを行う人達の中から選び出す方法です。実際にプロジェクトを行う人から選出するので、進捗状況・問題発生時の対応を素早く把握できます。
しかし通常業務と責任者が兼任になる事で、もう一つの責任者との調整がとりにくくなり、責任者の負担が増えてしまう事があります。

ウィーク型

ウィーク型は、プロジェクトの責任者を置かずに社員自らの判断で進める方法です。社員は臨機応変に行動できるので、プロジェクトに対して様々なアプローチを行いたい場合に有効な方法です。しかし、組織との関係性や責任の所在が不明確になりやすくなります。

ストロング型

ストロング型は、専門のマネジメント担当部門を別個に設けて、マトリクス組織全体を見渡す方法です。専門のマネジメント担当部門が権限を持つ事で、プロジェクトの管理がしやすくなります。複雑なプロジェクトでかつ人数を多くかけれる所には有効な方法です。その一方で、専門のマネジメント部門を設けるのに必要なコストを考える必要があります。

マトリクス組織のメリット・デメリット

マトリクス組織を導入するメリットとデメリットを見ていきます。マトリクス組織は、従来型の組織と比べて複雑になるため、安易に導入して失敗した事例も少なくありません。

編成を成功させるためにも、メリットとデメリットをしっかり把握しておくことが大切です。

マトリクス組織のメリット

マトリクス組織は社員側・会社側の立場で考えると、次のメリットがあります。

部門・業種ごとの組織の場合、懸案事項の調整を進めるのに、上長に上げてさらにトップ同士の話し合いで進めて初めて動けるようになる為、時間がかかります。

これに対してマトリクス組織の場合、同じプロジェクトに対して各部門・業種の担当者が同じグループにいるので、それぞれの担当者同士で直接話をして理解しながらプロジェクトを進める事ができます。部署の垣根を越えた懸案事項の調整がスムーズになります。全体状況を俯瞰的に見ながらプロジェクトを進めれるので、効率よく情報の伝達・共有が可能になり、時間短縮につながります。

社員側から見ると、異なる部門・業種・エリア間を超えた繋がりによって、自分の専門領域を広げたり、気づかなかった問題点を把握する事ができ、改善に役立てる事ができます。 会社側から見ると、新規プロジェクトを起こす時に、人事異動による調整の手間を大きくかけずに人材を選任できるので、人材を最大限に有効に活用しつつ無駄のない効率的な経営ができます。

また、複数の軸で同時に並行しながら進めることができるので、改良の幅を広げつつ多角的展開でプロジェクトを進めることができます。さらに、多角的に並行した展開は日程短縮にも繋がり、スピーディーに成果を出すことができます。

マトリクス組織のデメリット

マトリクス組織の場合、ウィーク型以外はプロジェクトのリーダーと組織のリーダーと上司が2人存在します。その為、進捗状況や進めていく上での問題点も2人の上司に報告する必要があります。
その時、人・設備・予算といった調整をプロジェクトリーダーと組織リーダー間で行わなければならず、どちらで請け負うのかが問題になります。

すなわちリソース管理が2人の上司の元で調整しなければならないので、リソースを負担する為の根拠や予算額の扱いが難しくなります。進捗や問題点を2人の上司が同じ認識を持つとは限らないので、認識のズレが生じるとさらに難しくなります。

2人の上司間の利害関係が一致しないと、社内の調整が進まずに派閥抗争に陥る危険をはらみ、混乱しやすくなってしまうのです。

また、責任の所在も曖昧になりやすくなります。その為、担当者が板挟み状態で混乱に陥り、日程遅延や問題点の放置といった問題が後々まで残ります。

リソース管理を複雑にしないために、マトリクス全体を俯瞰して見渡せるプロダクトマネージャーの存在が重要となり、リソース管理の権限を曖昧にせず、プロジェクト・部門間の対立を抑えた形で進めていく必要があります。プロジェクト・部門による報告からくる問題点の混同を少なくする事がマトリクス組織の本質を活かすためのポイントです。

マトリクス組織で効率的に成果を上げよう

マトリクス組織は、社員同士の意思疎通をスムーズにし、作業の効率を上げることができる組織形態です。

成功するためのポイントは、万が一トラブルが起きた際の責任の所在を明確にしておくこと。
スピーディーに成果を上げることが見込めるマトリクス組織。ぜひ導入してみてください。

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