ホラクラシー組織が企業を成長させる?特徴とメリット・デメリット

組織

最近、新しい組織の形として「ホラクラシー組織」が注目されています。なぜ「ホラクラシー組織」が注目されているのでしょうか。

「ホラクラシー組織」の仕組みとメリット、デメリットについてまとめました。

ホラクラシー組織とは|肩書きのない組織の形


組織とはそもそも何なのか考えてみましょう。現在の企業組織の原型は、1900年代前半にフレデリック・テイラーが考案した「科学的管理法」に基づくものです。

テイラーは組織を「計画する人」と「計画を実行する人」に分けました。現代の企業の多くで採用されている「ピラミッド型組織」は、「役職」と「権限」によって組織の指示・命令系統が構築されています。

また、「ピラミッド型組織」では、上位の役職の人が「計画する人」と定義されています。上位の役職の人ほど「権限」を持っており、下位の階層よりも多くの情報を持っています。

一方、ホラクラシー組織には役職がありません。ホラクラシー組織は全員が計画も実行も行います。それぞれが組織の目的や目標のために自分で考え、行動しています。

従来の「ピラミッド型組織」は「人」に対して権限が分配されます。特定の人が特定の部門の「計画」を担います。一方、ホラクラシー組織は、機能による役割分担が中心です。組織を営業やマーケティング、人事といった機能ごとに分割し、それぞれの機能が独立しつつも互いに協力しあいながら仕事を進めていきます。

ホラクラシー組織のメリット|業務のスピード感がアップ


「ピラミッド型組織」では「人(役職」と権限と給料が全て連動しているため、組織を変えたいときは簡単に変えることができません。

一方、ホラクラシー組織は、役職がないため機能を再編することが可能です。これにより例えば、営業とマーケティングを一つの機能にすることや、管理部門を一つの機能にまとめることができます。機能の分離、統合も比較的容易なため、経営状況にあわせた柔軟な組織編制が可能になります。

また、上記の通り、ホラクラシー組織は「計画する人」「実行する人」という区別がないため、一人の人が計画も実行も担うことができます。これにより「計画しながら実行する」ことが可能になり、業務のスピード感がアップします。

また、ホラクラシー組織では社員が自ら課題に気づいてすぐに解決することができるため、組織にとって大きなリスクを抱える前に課題に対処することが可能です。

こうした「人」レベルでの業務効率化、「組織」レベルでの業務効率化によりホラクラシー組織では業務のスピードを上げることができます。

ホラクラシー組織のデメリット|責任の所在はどこか


ホラクラシー組織には役職がありません。機能に対して人がアサインされます。そのため、何かを実行した際に、もしうまくいかなければ機能自体を見直すか、機能同士のつながりをみなおすか、機能にアサインする人を見直します。

旧来の「ピラミッド型組織」を基準に考えると、責任の所在が「人」ではなく「機能」になるため、責任の所在がわかりにくいというデメリットがあります。多くのホラクラシー組織の場合、「経営する人」と「その他」と分けることで経営者が責任者となり、「その他」の人は責任を負わない形態をとっています。つまり悪いのは「仕事」や「機能」であり、「人」自体は責めないという原則があります。

ホラクラシー組織を導入した有名な企業にアメリカの靴の通販大手「ザッポス」があります。「ザッポス」でもホラクラシー組織導入の際にはマネジャーが大量に離職しました。日本のある企業でもホラクラシー組織を導入しようとして、社内が混乱し業績が大幅に下がってしまったケースもあります。

「フラットな組織」と「ホラクラシー組織」は似て非なるものです。単に「フラット化」した「ピラミッド型組織」と「ホラクラシー組織」はもともとの組織設計のコンセプトが異なるからです。

そのため「ピラミッド型組織」で運営している組織に、「ホラクラシー組織」の考えを適用するのは困難です。誰しもが導入できる組織形態ではない、という点がデメリットになりえます。

まとめ

ホラクラシー組織はバズワードになりつつあります。どの組織にも「ホラクラシー組織」が最適だとは言えません。むしろ現在の「ピラミッド型組織」の方が優れている場合もあります。

「ホラクラシー組織」の事例をもとに組織が成し遂げたい目的を考え、最適な組織の姿は何かを常に追求することが経営者や人事の役割と言えます。

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