毎年のように「動画元年」といわれ続け、ようやく落ち着いてきたことでついに2年目以降に突入したことを感じ取る昨今ですが、求人においても動画を用いた企画を活用するのが新しい手段として定着しそうです。
特にミレニアル世代やZ世代と呼ばれるデジタルリテラシーの高い層においては、web上で見られる動画コンテンツによって情報をキャッチすることが日常のルーティンのひとつとして組み込まれている方も少なくなく、それは就職活動、転職活動においても同様といえるでしょう。
なお、ミレニアル世代、Z世代については出生年に明確な定義がないため、書き手や話し手によって若干のズレが生じますが、ここでは下記を意味することとします。
- ミレニアル世代(Y世代):1981~1995年生(2020年時に25~39歳)
- Z世代:1996~2012年生(2020年時に8~24歳)
ミレニアル世代、Z世代に届きやすい動画訴求の求人情報
繰り返しになりますが、webリテラシーが高く、ネット上の動画コンテンツに日常的に触れているミレニアル世代、Z世代の人たちは、動画訴求が刺さりやすい層といえます。この項では、動画で求人情報を発信するメリットについて説明します。
SEO効果が見込める
「動画といえばYouTube」という印象が今や一般的ではないかと思いますが、YouTubeは2006年にGoogleに買収されており、そのためかYouTube動画を埋め込んだ記事は検索されやすくなる、検索結果に上位表示されやすくなる、という噂がにわかに広まったこともありました。しかし本当に動画を埋め込んだだけで上位表示されやすくなるのでしょうか?
結論から申し上げると、動画コンテンツを活用しても直接的なSEO効果は見込めません。ただし、ユーザーの検索意図を考慮してそのニーズに合わせた動画を記事内に設置したとすると、良質な記事だと見なされ、信頼性が上がり、それによって閲覧者が増えることで検索もされやすくなる可能性が高まります。つまり、間接的なSEO効果は期待できるかもしれないということです。
また、現状Googleにおいては、動画や画像よりも文章で情報を適切に伝えているコンテンツの方がSEO効果は高い傾向にあります。そのため、動画を設置するにしても、きちんと文章で過不足なく情報を伝えた上で副次的に動画を差し込むのがいいでしょう。
SNSなどで拡散されやすい
国民総ユーザーといわれるほど一般化したSNS。特に先進ユーザーであるミレニアル世代、そしてそれに後続するZ世代においては、Instagram、TwitterなどSNSが日常的に欠かせないツールとなっている方も多いです。
気になるものがあればすぐにシェアでき、また、シェアされたものをさらにシェアできるのがSNSの特徴のひとつですが、つまりSNSカルチャーにフィットするコンテンツが作れれば、コストをかけずに拡散され続け、閲覧ユーザーが爆発的に増えるのも夢ではないということです。
SNSのフィード上では、動画投稿はスクロールしただけで再生されるのが一般的なので、続きが気になって最後まで観てしまい、共感したり興味をもった場合は最終的にシェアボタンを押す、という流れが自然に成り立ちます。
もちろん一目で情報をキャッチできる静止画も効果的ですが、動きがあることで、より多くの情報を受信(発信)することができる、ということを考えると、動画はSNSとの相性がいいといえるのではないでしょうか。
まだ転職活動に至っていない潜在層にも求人情報を届けられる
通常、就職や転職を考えている方は、求人を行っている企業を探すため、自分からアクションを起こすと思います。求人サイトやエージェントサービスに登録したり、SNSなどで自己アピールをしてマッチングを図ったり、知人にヒアリングしたり、もしくは入社したい企業に直接アプローチしたり、方法はさまざまですが、そういった自らの行動によって条件に見合った企業や職種を見つけることでしょう。
ですが、それは就職、転職したいという意思を自覚している場合です。「いずれ就職、転職したい」という考えを持っている方は、現状ではそこまでのアクションを起こさない可能性も低くないでしょう。
また、たとえば現在別の会社に勤めている場合は意識下では転職を希望していても、そこまで強い思いを持っていなかったり、あるいは仕事が忙しく転職活動に割く時間がなかったりするケースもおおいに考えられます。
前項で動画はSNSとの相性がいいと先述しましたが、それはつまり、そういった潜在層にも求人情報が届けられる可能性が高まるということも示唆しています。特にデジタルパイオニアと呼ばれるミレニアル世代、デジタルネイティブと呼ばれるZ世代は、web上で情報をキャッチしたり、それについてアクションすることにとても長けています。
大きなコストもかけずに、顕在層のみならず潜在層にまで企業の情報と求人の情報を届けることができたら、それはきっと大きな効果を生み出すに違いありません。
企業についての知識を深めてもらえる
文章ではどんなに丁寧に説明しても伝わらないことが、画像では一目で印象づけられることがあります。求人を行うにあたって大事な企業情報、特に、実際に働く職場の環境や雰囲気は文章よりも写真の方が伝わりやすいでしょう。そしてさらに、写真よりも動画の方がより伝わりやすいこともあるでしょう。
求職者にとっては、オフィスの雰囲気だけでなく、自分の上司や同僚になるかもしれない人の表情や声を見聞きすることができるので、実際にそこに勤めることになった場合のイメージがつかみやすくなります。
つまり、カルチャーフィットするかどうかまで事前に見極めることができるため、入社してから「想像と違った」とミスマッチする可能性が低くなるかもしれないともいえるわけです。
これから新規事業を立ち上げる予定でスタートアップメンバーを探している場合も、その事業のPVを求人情報に付け加えておくことで、プロダクトのブランディングの理解度を高め、より強く賛同してくれた方が応募することが見込めるので、募集人材と応募者のギャップも小さくなるかもしれません。
「動画面接」「ウェビナー」…求人を行うなら動画は必須!
Z世代が就職活動を本格的に始動させるようになって急増しているのが「動画面接」です。「逆求人」とも呼ばれる、企業側から求職者をスカウトするスタイルが増えてきていることに併せて、スマホなどで自己PR動画を撮影して企業に提出する求職者が増えてきているのです。事前に企業が質問をいくつか提示し、それに答える様子を自撮りして提出するケースもあります。
今まで一次選考といえば履歴書や職務経歴書などの書類選考が主でしたが、動画選考ではさらにその人となりを見ることができるため、やはり前項同様に入社後のイメージのギャップに悩まされることが双方ともに少なくなりそうです。
就活にまつわるYouTubeチャンネルが立ち上がり、20代から多く閲覧されていたり、web上でセミナーを受けられる「ウェビナー」というものが増えていたり、就活生が自己PR動画をプラットフォーム上に投稿し、それを見た企業とマッチングするサービスが立ち上がったり、今や動画コンテンツは採用活動を行う上で欠かせないものになりつつあります。
今まで動画を制作したことがない企業は、参入したいと思ってもなかなか踏み出せない領域かもしれませんが、優秀な求職者ほどさまざまな方法で自己をアピールしたり、就活、転活の可能性を広げたりすることに長けているので、早めに着手するに越したことはないでしょう。
ミレニアル世代やZ世代など若者が日常的に触れ、実際に自分でも撮影してweb上に公開することもあるということは、動画が広まった理由のひとつとしてその「手軽さ」もポイントにあるので、あまり最初から完成度にこだわって高クオリティーな動画を制作せずとも、まずは掲載してみて反応を見ながら編集、もしくは再撮影して更新するといったようにこまめにPDCAを回すのもいいのではないでしょうか。