採用アプリの活用がこれからのリクルーティングのカギ?

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自社にマッチした人材を採用するためには、リクルーティングの媒体選びが重要な意味を持ちます。

就職情報サイトへの登録や自社のエントリーサイトを用意する方法が定着している中、現在にわかに注目を集めているのが「採用アプリ」の存在です。

アプリ上で自社情報の発信からエントリー受付までを完結できる利便性や、デジタルネイティブ世代との相性のよさから、徐々に導入する企業が増えています。

この記事では、新卒採用や中途採用において「求める人材」とのマッチングを実現する採用アプリの魅力について、実際の導入事例とともにお伝えしていきます。

採用アプリって?

採用アプリ

採用アプリとは、リクルーティングを行う企業が独自に用意するスマートフォン向けのアプリケーションです。イメージとしては「企業のエントリーサイトをスマホアプリに凝縮した形」を、一つの標準として考えておくとよいでしょう。

募集要項や採用フローといった選考過程に関わる情報はもちろんですが、企業のコンセプトや先輩従業員の声など「働くイメージ」を具体的に喚起するコンテンツ、通知による諸々の案内など、新卒・中途の求職者に対して柔軟にアプローチできる媒体として関心を集めています。

採用アプリはなぜ注目されているのか

昨今の採用市場では、特に新卒採用において、「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代への訴求力が重要性を増しています。PCよりもスマートフォンを用いた情報収集に慣れ親しみ、SNSをはじめとする多様なアプリのフォーマットに柔軟な対応力を持った世代にとって、「PCを使わず、一つのアプリで情報収集からエントリーまで完結できる」という形態をとる採用アプリは非常に親和性の高いものだといえるでしょう。

新卒採用の対象となる若い世代はもちろん、中途採用のターゲットとなる世代においてもスマートフォンによる情報収集は一般化しており、採用アプリの恩恵を十分に受けることができると考えられます。

採用アプリのメリット

メリット

採用アプリを導入することで、求職者の利便性を向上させられるのはもちろんこと、企業側にとっても多くのメリットがあります。スマホアプリのインターフェイス上に、求職者に届けたいコンテンツを整理して配置することで、効果的な情報発信が可能となるのです。

ここでは具体的に、採用アプリが企業のリクルーティングにもたらす効果について紹介します。

求職者に対して企業のカラーが伝わりやすい

自社の採用アプリを導入することで、インターフェイスやデザイン面にこだわったり、独自のコンテンツを掲載したりすることができるため、企業のカラーを明確に打ち出すことが可能です。

アプリ内の階層や構造を工夫することにより、ターゲットとなる人材が欲しているコンテンツを的確に届けることができるでしょう。募集要項や従業員のインタビューといった定番コンテンツ以外にも、会社としての理念や取り組みなど、押し出したいポイントを強くアピールできるのが採用アプリの魅力です。

情報伝達のタイムラグが小さい

エントリーサイトにはないアプリの強みとして、「プッシュ通知」のシステムが挙げられます。コンテンツを更新したり、セミナーや説明会など採用過程に関する情報を掲載したりと、求職者に伝えたい情報をプッシュ通知で伝えることで、タイムラグの少ない形でチェックを促すことができるでしょう。

メールやSNSとは異なるアプリから通知があることで、求職者の注意も引きやすく、自社の発信する情報への意識がおのずと高まっていくと考えられます。

クローズドコンテンツによるプレエントリーの促進

アプリ上に「マイページ」などを設け、そこからアクセスできるクローズドコンテンツを豊富に用意することで、求職者の関心を高めながらプレエントリーを促すことが可能です。

「アプリのインストール」→「プレエントリー」→「エントリー」という各段階のどこにユーザーがいるかを把握することもできるため、状況や採用スケジュールに応じて柔軟に情報を発信していくこともできるでしょう。求職者と足並みを揃えながら、採用過程への道筋を示していける点も、採用アプリの一つのメリットです。

採用アプリのデメリット

デメリット

多くのメリットをもたらしてくれる採用アプリですが、リクルーティングのために専用のアプリを導入することは一定のリスクを伴います。現時点でのリクルーティングの課題と目標を明確にしながら、採用アプリ導入によるリスクと効果を見極めていくことが必要です。

アプリをダウンロードしてもらう必要がある

求職者が就職活動を行うにあたっては、「マイナビ」などの総合就職サイトのアプリをスマートフォンにインストールする形が一般的です。自社独自の採用アプリを導入すると、求職者に自社アプリのダウンロード・インストールの一手間をかけさせることになります。

自社に関心の高い求職者に訴求できる点は魅力ですが、「これから自分に合う企業を見つけたい」という求職者に対しては、アプリをインストールしてもらうまでの経路を工夫する必要があるでしょう。

開発・運用のコストがかかる

自社独自のアプリを用意することになりますので、開発には相応のコストが要求されることになります。Yappli(ヤプリ)AppCooking(アプリクッキング)など、アプリ開発を専門とする事業者に委託する方法が一般的ですが、コストと効果を照らし合わせ、しっかりと見極める必要があるでしょう。自社に開発部門がある場合でも、アプリの設計・構築に多くのリソースを割くことになります。

運用においてもコンテンツの更新や応募者の管理など、一定水準の知識や工夫が求められるため、導入にあたってはその後の運用までを見越して検討しておくことが重要です。

採用アプリを活用する企業の事例

採用アプリを導入している企業の中には、アプリとしてのプラットフォームを生かして利便性を高めている企業や、掲載するコンテンツを工夫することで独自の魅力を伝えることに成功している企業など、業態や企業風土に合わせた多様な形で求職者にアピールしている企業などがあります。

以下では実際に、採用アプリをリクルーティングに活用している企業の事例を紹介していきます。

洗練されたビジュアルで働くイメージを伝える

バッグやジュエリーの製造・販売で知られる「株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド」は、2019年度の新卒採用から専用アプリを導入し話題を呼びました。エントリーに必要な情報を掲載することはもちろんですが、アパレル企業ならではのビジュアルを生かしたコンテンツが最大の特徴です。洗練されたオフィスの写真や、ジムをはじめとする社内設備の紹介、社員の日常が見えるブログの更新など、まるで「おしゃれなインスタアカウント」を眺めるような形で会社のことを知ることができ、SNSに慣れ親しんだ世代にとって訴求力の高いアプリとなっています。

(参照:Yappli「【アプリリリース】「サマンサタバサグループ 新卒採用アプリ」 リリース~アパレル業界で新しい試み~ | Yappli News | ヤプリニュース」

「アプリのみ」のリクルーティングでターゲット層を絞る

映像配信サービスを手掛ける「株式会社GYAO」は、2017年度の新卒採用からいち早く採用アプリを導入しています。同社が際立っている点は、エントリーの窓口を採用アプリに一本化しているところです。

企業のリクルーティングにおいては通常、エントリーの窓口は広く設けておくのが定石ですが、GYAOはあえて窓口を絞ることでITリテラシーの高い人材からの応募率を上げることに成功しています。

エントリーの母数そのものは減少した一方で、採用プロセスにおける効率は格段に向上し、自社にマッチした人材を見極めるうえで大きな効果を発揮しているとのことです。

(参照:SELECK「応募経路を「自社アプリ」に1本化!学生とのマッチングを効率化したGYAOの新卒採用」

説明会やセミナーへの参加手続きを簡略化

住友商事グループのITサービス会社である「SCSK株式会社」は、会社説明会やセミナーの予約・参加がアプリ上で容易に行える採用アプリを導入し、求職者の手続き面での負担を軽減しています。

セミナー会場ではアプリに表示されるQRコードを提示するだけで出席登録が可能であり、求職者側と企業側の双方にとって手間なく採用プロセスを進められるシステムです。アプリ上でエントリーまでをストレスなく行えるプラットフォームとして、採用アプリの標準的な形態であるといえるでしょう。

(参照:アプリノ「SCSK|新卒採用 2021の最新情報」

求職者とのコミュニケーションの窓口として

電気設備の設計・施工・企画を行う「株式会社弘電社」は、新卒採用アプリの導入により自社の業務内容について求職者に深く知ってもらうことに成功しています。専門性の高い業種はとりわけ、自社の業務を広く周知する機会に恵まれない傾向にありますが、弘電社は採用アプリの開発後、大学の採用課などに配布するパンフレットにアプリダウンロードのQRコードを掲載したり、説明会後にアプリ上でのアンケートをお願いしたりすることにより、多くの学生に自社の業務について知ってもらうことに成功しました。

アプリ内のチャット機能は、SNSのような形で気軽に利用することができ、学生が抵抗なく質問できる環境となっています。

(参照:eventos「eventosで採用〜内定者へのフォローを実現!~弘電社様インタビュー~ | eventosブログ(イベントス)」

まとめ

家の中から移動の最中まで、常にスマートフォンをチェックする習慣が若い世代を中心に定着している現在、アプリ上で自社情報を柔軟に発信できる採用アプリはリクルーティングの強い味方となってくれるでしょう。

導入を検討する際には、どのようなターゲットに、どのような形でアピールしていくかを明確にしておく必要があります。ターゲット層によっては、アプリによる訴求が効果的に働かないケースもあるため、採用アプリの導入が「求める人材へのアピールに役立つか」という点を第一に検討しておきましょう。

実際にアプリを導入する段となったら、自社の特性をどのように届けるのが効果的なのか、コストやリソースと照らし合わせながら検証していきましょう。

求める人物像を明確にし、的確なアプローチができる媒体を選んでいくことが、望ましい人材とのマッチングを実現する第一歩です。

この記事を書いた人
鹿嶋祥馬

大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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