最近は人材不足から、中途採用を積極的に進める企業も増えてきました。
一方で、即戦力と思って採用した中途入社社員がなかなか定着せず残念ながら離職に至ってしまうケースも増えているようです。
中途入社の方がすぐ辞める原因とどうすれば長く働いてもらえるのかを調べてみました。
中途入社はすぐ辞める?離職率は30%以上
中小企業庁の「中小企業白書」によると、中小企業における入社3年以内の中途入社者離職率は30%となっています。入社した3人に1人は転職した会社を去る決断をしています。
離職理由トップ5は以下の通りです。
- 1位:職場の人間関係(経営者や上司への不満)
- 2位:業務内容への不満
- 3位:給与への不満
- 4位:労働時間への不満
- 5位:会社の経営方針が変わった
(出展:平成27年 中小企業白書)
さらに、1位から4位までは入社3年後以降に辞めた人よりも、3年以内に辞めた人の方が、退職理由として多く回答しています。
1位から4位までは入社前と入社後にギャップが生じやすい理由ですので、「採用のミスマッチ」が発生していると考えられます。
会社はかなりの時間をかけて募集を行っています。また、採用にかかる広告費用や紹介会社への手数料など費用も発生しています。
これだけの時間的、金銭的コストをかけたにもかかわらず中途入社の人材が定着せず、すぐに辞めるのは会社にとって大きな痛手です。どうすれば中途入社の人材が定着するのでしょうか。
中途入社した社員と企業が求めるものの違い
「採用のミスマッチ」が起きる理由はいくつか考えられます。まずは第1位の理由である人間関係について考えてみましょう。
大前提として、転職先の上司や役員との相性は、入社後にしかわかりません。そのため、面接の際には互いに「とても良い人だ」と感じていても、いざ入社してみると面接のときにはわからなかった態度や行動が見えてきます。
その結果、「職場の人間関係」の不満へとつながります。これは企業側と中途入社者との間で互いへの期待が高いときに起こりがちです。期待が高いからこそ、何か些細なことで期待と異なることがあるとがっかりするのです。
また、企業の「即戦力」に対して中途入社者が応えきれていないケースです。多くの場合、中途採用で企業が求めるのは「即戦力」です。実はこの「即戦力」の度合いが企業によって異なります。
中途入社の方を活用する企業は、本当に入社後「即」活躍してほしい場合もあれば、半年間は様子をみて徐々に慣れてほしいと思っている場合もあります。
一方で多くの場合、中途入社者は「すぐに活躍したい」と意気込みがちです。そのためすぐ活躍しようと空回りしてしまったり、反対にすぐに活躍したいのに上司から「まだ入社して数か月だからもう少し慣れよう」と言われる場合もあります。
こうした中途入社者の気持ちと企業が求める戦力の違いからミスマッチが起こるケースがあります。
中途入社した社員が長く働ける職場とは
中途入社した社員が職場に定着して長く活躍してもらうためには、いくつか工夫が必要です。
特に第1位と第2位の退職理由が「人間関係」と「業務内容」ですので、この2つに対処するだけで大幅に中途入社社員がすぐ辞める可能性をぐっと下げることができます。この2つの退職理由に対処する方法として以下の施策があげられます。
定着プログラムを実施する
Googleなどの優良企業では中途入社社員に対し「オンボーディング」プログラムを実施しています。早期定着を図るために、入社初日に中途入社社員へウェルカムレターを渡す取り組みや、社内イベントを実施して他の社員との人間関係を早期に構築してもらう取り組みを行っています。こうした定着プログラムは離職防止に有効な手段です。
「メンター制度」を導入する
上司や同僚とは別に、先輩社員を中途入社社員の相談役として「メンター」に設定します。中途入社社員と「メンター」とは月1回以上、面談するようにします。また、周囲に対しても誰が「メンター」であるかを知らせ、中途入社社員が困っているときはメンターとともに解決を図ります。
まとめ
最近は転職市場が活性化しています。社員からしてみれば、「他に良い職場がある」と思いやすい環境にあります。少しでも入社前と入社後のギャップがあれば、すぐ辞めるのは当然のことなのです。
特に企業は入社してもらうことだけに注目しがちです。そこで冷静に退職理由を分析し、こうした定着を目的としたプログラムを導入すれば、中途入社社員がすぐ辞めることも少なくなるでしょう。