高齢者・シニア層を採用する「高齢者雇用」のメリット・デメリットは?

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少子高齢化が進む現代において、労働力の確保は大きな課題となっています。2019年時点での生産年齢人口(15歳以上~65歳未満)の割合は約60%と、平成20年以降から減少し続けているのをご存じですか?(総務省統計局)生産年齢人口は、経済活動の中心となる層なので、減少し続ければ働き手がいなくなってしまいます。そこで、新たな労働力として注目されているのが高齢者・シニア層です。

「高齢者雇用」とは、定年を迎えている労働者を企業が雇用することを指します。若年層に比べて知識や経験が豊富なので、職種によってはすぐに活躍できるケースも多くあるでしょう。また、日本では「高齢者雇用安定法」が制定されており、国から企業へ、多くのサポートが受けられるよう制度も整備されています。

今回は、この「高齢者雇用」に関して詳しく説明します。「若年層採用がうまくいかない」「知識が豊富な人材が必要」という企業は、メリット・デメリットを確認しながらぜひ高齢者の採用を検討してみてくださいね。

高齢者・シニア層を採用する「高齢者雇用」とは?

企業が定年を迎えた労働者を雇用することを、「高齢者雇用」といいます。高齢者雇用の前提として、働く意欲のあるもの能力のあるものと定義されているので注意しましょう。また、高齢者の年齢は決められておらず、主には定年後の人材を指します。定年の年齢が職種や企業によって異なるため、具体的な数値は決められていないのです。

2013年に「高齢者雇用安定法」が法改定されたことで、定年を65歳以下としている企業は以下の3つからいずれかを必ず選択しなければならなくなりました。

  1. 定年の廃止
  2. 定年の引き上げ
  3. 定年後、本人の希望があれば65歳までの雇用継続

また、2025年までには65歳までの雇用義務化が進められる予定です。日本政府は、本人の希望によって70歳まで働けるような法改正を視野に入れているため、今後さらなる変更があるかもしれませんね。

「高齢者雇用」のメリット・デメリット

ここでは、高齢者雇用のメリット・デメリットを分かりやすくご紹介します。その前に、自分たちの企業に必要なのは「ノウハウ」や「知識」でしょうか?それとも、時代に迎合する「新しい考え方」でしょうか?会社に何が必要なのかによって、高齢者雇用の意味は大きく異なるはずです。

SNSを利用したマーケティングをするのに高齢者は向いていません。一方で、税理士資格を持ち経理経験のある高齢者は即戦力になりえます。まずは、雇用のミスマッチを防ぐためにも、高齢者雇用を視野に入れると同時に、自社が求めているものを明確にすることから始めてみてくださいね。

【メリット】

  • 知識や経験が豊富な人材を採用できる
  • 若年層の育成につながる
  • 国からの助成金を得られる
  • 労働力不足の解消につながる

高齢者雇用のメリットは、なんといっても蓄積されたノウハウです。社会人経験が長い分、知識やスキルが豊富な場合が多く、職種によっては即戦力として活躍するでしょう。これらのノウハウをきちんと共有すれば、若年層社員の育成にもつながるので一石二鳥です。

すでに自社で働いていた社員をそのまま継続雇用するのであれば、人柄や仕事ぶりも良く知っているはずです。労働者側も社内の雰囲気を分かっている場合がほとんどなので、新しく採用した社員とミスマッチが起きた…という心配もありません。そのため、新しい人材を確保するよりも少ないリスクかつコストをかけずに労働力を確保することができます。

また、一定の条件を満たせば国から助成金が出る場合があるのでよく覚えておきましょう。大きく分けて「65歳超継続雇用促進コース」「高年齢者評価制度等雇用管理改善コース」「高年齢者無期雇用転換コース」の3種類があり、もらえる金額にも差があります。詳しくは厚生労働省「65歳超雇用推進助成金」のページから確認できるので、こちらを参考にしてください。

【デメリット】

  • 人事配置が難しい
  • 再教育が必要な場合がある
  • 若年層の機会損失を招く可能性がある
  • 人件費が高くなることがある

高齢者雇用は、メリットだけではありません。主には上記のようなデメリットが考えられますが、どの企業でも頭を悩ませるのが雇用後のポジションです。年齢を重ねているので新人として研修を行うのはなかなか難しく、だからといって管理職につけるわけにもいかないというケースが多く存在します。最新機器に関しては知識がないため、再教育が必要という場合もあるでしょう。しかし、人によっては新入社員と同じポジションはプライドが許さず、雇用側とトラブルに発展することも。企業側にも慎重な対応が求められるのです。

また、知識・スキルがある分、若年層の活躍する場を奪ってしまうというリスクも考えられます。もちろんノウハウを持つ社員が仕事を回した方が、業務は効率よく進みます。だからといって若年層に実務経験を積ませなければ、企業は成長していきません。こうならないためにも、企業側はバランスのよい業務の回し方を心がけましょう。

継続雇用の場合、定年前の雇用条件と同じまま雇い続けると会社の財政を圧迫する可能性があります。継続雇用=同条件で雇い続けるという訳ではないので、よく調べてからの対応をおすすめします。多くの企業は「嘱託社員」という形態をとり、本人の希望とすりあわせながら再雇用をする場合がほとんどです。

「高齢者雇用」が求められる背景

【理由①:少子高齢化社会による労働力不足】

国からも推奨されている「高齢者雇用」ですが、その大きな理由は少子高齢化社会です。少子高齢化に伴い、15歳以上~65歳未満の働き盛りとされる生産年齢人口は減少の一途をたどっています。一方で高齢者は増え続けているため、彼らの生活を守るためにも経済規模を縮小することはできません。労働力は足りないにもかかわらず、経済規模を縮小することはできない。そこで新たな労働力として注目されたのが経験・知識が豊富な高齢者・シニア層なのです。

【理由②:高齢者の生涯寿命の延び】

医療の発展とともに伸びている生涯寿命も、高齢者雇用を後押ししています。以前は、高齢者=身体が弱いというイメージがありましたが、近年では驚くくらい元気な方もいらっしゃいます。厚生労働省の調査によると、健康と自覚している期間とされる健康寿命の年齢は、2016年時点で男性:72.14歳、女性:74.79歳と70歳を超えています。70歳近くの高齢者でもいきいきと働ける環境を整備することで、労働力不足の解消につながるかもしれませんね。

【理由③:即戦力不足】

中小企業は、新入社員を教育している余裕がない場合が多々あります。そこで必要とされるのが、一からの教育が必要ない即戦力人材。しかし、すべての企業が中堅層のハイスキル人材を採用できるわけではありません。特に地方の企業では、若年層から中堅層の人口自体が少ない場合もあります。そこで活躍するのが高齢者です。今まで蓄積してきたスキルをすぐに発揮してくれる人材として、採用を考えている企業も増えてきていますよ。

まとめ

少子高齢化が進む日本において、高齢者・シニア層の雇用は大きな一歩といえるでしょう。労働力を確保するために、スキルや知識が豊富な高齢者は即戦力となるはずです。健康寿命も伸びているいま、高齢者は大きな労働力として多大な可能性を秘めていると思いませんか?

一方で、きちんと企業に必要な人材を明確にしていないと、高齢者雇用に失敗してしまうことも少なくありません。メリット・デメリットを把握し、企業にとっても雇用者にとってもいきいきと活躍できる環境を整えていってくださいね。

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