転職イベントって、実際に採用活動がはかどるもの?

握手 採用

近年、「即戦力」として働いてくれる中途採用に力を入れている企業が増えています。新卒採用と比べて、過去に社会に出て働いたことのある人材を採用すると、教育コストが削減できたり、蓄積されたノウハウを実践してくれたり、といった大きなメリットがあるからです。

しかし、なかなか自社が求めている人材の採用に至らない企業も多いのではないでしょうか?仮に出会えたとしても、社風や条件があわずマッチングしないということも少なくありません。このような時、トライすべきなのが「転職イベント(転職フェア)」です。

今回は、転職フェアの詳細からその効果まで分かりやすくご紹介します。優秀な人材確保のための通過点として、参考にしてみてくださいね。

「転職イベント(転職フェア)」とは?

耳にする機会も多い転職イベントですが、具体的には何をするものなのでしょうか?ひとことで表すと、中途入社を考えている求職者と中途採用したい企業が直接コミュニケーションをとり、双方のことをよく知ろうとする場です。もちろん応募を受け付ける前段階なので、求職者と企業間のミスマッチを防ぐ効果もあります。

会場内で行われていることは?

会場内では企業ごとにブースが設けられており、求職者は気になる企業を自由に見て回れます。求職者へのアピール方法は企業によってさまざま。会社説明をするところもあれば、職種ごとにざっくばらんに質疑応答ができるところもあります。

また、比較的大きな転職イベントだと、企業ブースだけではなくさまざまなイベントがあるのも特徴です。転職活動をサポートしてくれる講演会があったりキャリア相談会が開催されたりと、求職者にとって嬉しいコーナーが目白押し。そのため、多くの求職者が転職イベントに参加します。よりたくさんの人材と出会えるため、企業にとっては効率よく採用を進めていけるイベントといえるでしょう。

「転職イベント(転職フェア)」が主に行われる時期とその理由

基本的に、転職イベントは1年を通してどの時期にも行われています。しかし、より多く開催されているのは3月と9月です。理由は、日本に多い3月期企業が年度はじめの4月と上半期はじめの10月に向けて採用活動に力を入れるから。そのため、3月と9月に行われる転職イベントは比較的大規模のものが多く、求職者も大勢参加する傾向があります。

有名な転職イベント(転職フェア)と出展に向いている企業

転職イベントの概要が分かったところで、いざ参加しようとしても、多すぎてどれに参加すればいいのか分からないですよね。そこで、有名な転職イベントをいくつかご紹介し、出展に向いている企業の特徴を解説します。専門職や女性限定のイベントなどもあるので、出展するべき転職イベントをぜひ見つけてくださいね。

※主に2020年6月時点の首都圏の価格を基準としています。

転職イベント①:「マイナビ転職フェア」

  • 日本最大級の転職フェア
  • 出展企業、求職者がどちらも多い
  • 転職意欲の高い20代~30代の求職者が多い
  • 出展価格は、一般ブース(4名):65万円、大型ブース(8名):130万円

日本最大級の転職イベント「マイナビ転職フェア」は、全国各地で行われており、求職者の参加費用は無料なので、転職を考えている方にとって参加ハードルは低いといえるでしょう。そのため、毎年多くの方が訪れています。層としては20代~30代が多く、若手採用を狙っている企業が出展に向いているといえるでしょう。ブースの大きさもニーズにあわせて選べるので、企業規模や予算と相談しながら決められます。

転職イベント②:リクナビNEXT「はじめての転職フェア」

  • 関東、関西、東海を中心に開催
  • あらゆる業種の企業が参加
  • 来場者の多くが20代~30代だが、近年は40代も増加傾向にある
  • 出展価格は、1ブース:約60万円~

大手企業のリクルートホールディングスが主催する転職イベントがこちら。転職活動をしたことがないという方に向けて、あらゆるセミナーやキャリア相談会も併催しているイベントです。はじめて転職をする求職者がターゲットということで、参加している年代も20代~30代と若年層が比較的多い傾向にあります。しかし、近年では40代以降の参加者も増加傾向にあるため、マネージャー候補や実務経験豊富なキャリア組の採用を考えているという企業も、出展してみる価値があるかもしれません。

転職イベント③:「doda転職フェア セレクト」

  • 募集する職種、経験などを絞った転職イベント
  • 条件にマッチした求職者が参加している
  • 開催数や開催場所が少なめ
  • 出展価格は、一般ブース:60万円+原稿掲載料

「募集職種が特殊」「年齢よりも経験豊富な人材を採用したい」という企業におすすめなのがdoda(デューダ)主催の「転職フェア セレクト」です。募集職種や経験などを絞ったイベントなので、条件にマッチした求職者のみが参加します。そのため、大規模な転職イベントにやみくもに出展するよりも、マッチング度が高まるといえるでしょう。一方で、開催数や開催場所が少ないため参加希望の場合は常に情報のチェックが必要です。また、出展にあたってdodaの求人広告への掲載がマストとなります。そのため、原稿掲載料も加算される点に注意しましょう。

転職イベント④:女の転職type「女の転職イベント」

  • 女性限定の転職イベント
  • 1回の来場者は1,000人~1,500名ほど(年々増加傾向にある)
  • 35歳以下の若手層が約75%
  • 出展価格は、原稿掲載セットプランで1ブース:80万円~

女性の社会進出が後押しされている近年、女性向けの転職イベントも増加傾向にあります。中でも女の転職typeが主催する「女の転職イベント」は、女性に特化した国内最大級の転職イベントです。販売・事務・クリエイター・介護医療・営業・企画・専門など女性に人気の職種を募集する企業の出展が多いのが特徴。これからキャリアを積んでいきたいという若手層の参加率が約75%なので、今後活躍していける女性人材の採用を考えている企業にはぴったりでしょう。出展価格は、求人原稿の大きさによって値段が変わってくるので事前の確認が必要です。

転職イベント⑤:合説どっとこむ「未経験者歓迎!IT企業就職説明会」

  • IT企業に特化した転職イベント
  • 新卒から中途まで幅広い層が参加(27歳以下が参加条件) ※技術職は35歳以下が参加条件
  • 未経験でもやる気重視の若手採用に向いたイベント
  • 出展価格は要問い合わせ

インターネットが身のまわりに浸透していくにつれ、IT企業も年々増加傾向にあります。合説どっとこむが主催する「未経験者歓迎!IT企業就職説明会」は、IT企業特化型の転職イベントです。「文系だけどITに興味がある」という未経験人材から「ITに関する資格・キャリアを活かしたい」という経験者まで幅広い求職者が参加しています。参加条件に年齢制限が設けられているので、人柄ややる気重視の若手採用を目指すIT企業におすすめのイベントです。

「転職イベント(転職フェア)」で企業ができること

転職イベント開催前

転職イベントへの申し込みが完了したので、あとは当日にアピールすればよいと思っていませんか?実は、イベント開催前にも気になる求職者へメールを送れる「スカウトメール」のサービスを利用できることがあります。出展企業は、転職イベントへ参加する予定の求職者の情報を閲覧・検索でき、ぜひ話をしてみたいと思う方にはメールを送ることができるのです。求職者側もメールを見て企業の話を聞いてみたいと思ったら、当日ブースに来てくれるはずです。マッチング度の高い段階から、採用活動を効率的に進めていけるでしょう。

イベントによってスカウトメールサービスが有料オプションである場合もあります。出展プランによっても料金体系が異なるため、事前によく確認しておきましょう。

転職イベント開催当日

転職イベント当日は、いかに自社の魅力を伝えられるコンテンツを用意するかが大切です。会社全体のことを知ってほしいのであれば、会社説明は有効でしょう。特徴的な職種を募集している企業や社員に魅力がある企業は、求職者とマンツーマンで話せる時間を設けると良いかもしれません。

会社説明だけではなく、その場でエントリーを受け付ける企業もあります。イベントに応募書類を持参している求職者も多いので、スムーズな採用活動ができますよ。ぜひ気になる求職者がいたら、エントリー受付の旨も伝えてみてはいかがでしょうか?

また、意外に大切なのがブースの装飾です。何百もある企業ブースの中からいかに求職者の目を引くかはとても重要な要素。備え付けのテーブルに資料を置くだけではとても殺風景ですよね。少なくとも清潔感のあるテーブルクロスやスタンドバナー(企業ののぼりのようなもの)を用意しておくとよいでしょう。企業カラーがある場合は、装飾の色を揃えるのもいいかもしれません。メーカーの中には、自社の強みとなる製品をノベルティとして配布するところもあります。あとは、社員の笑顔があればきっと多くの求職者が参加するはずです。

転職イベント開催後

イベント終了後は、応募をしてくれた求職者に対して採用工程を踏んでいきましょう。企業によっては、イベント中にある程度人柄を見るため1次面接を免除するというところもあります。比較的スムーズに採用を進めていけるのが魅力といえるでしょう。

「転職イベント(転職フェア)」に参加するメリット

これまで転職イベントについて説明しましたが、次は参加するメリットを、企業側・求職者側からより分かりやすくまとめました。出展しようか考えている企業や、転職イベントに参加するか迷っている求職者は、ぜひ以下を参考にしてみてくださいね。

企業側のメリット

  • まだ具体的に転職を意識していない転職潜在層にもアプローチできる
  • 採用活動をスムーズに進められる
  • 効果的に自社をアピールできる
  • 他企業との情報交換の場として活用できる
  • イベント運営企業からサポートを受けられる

企業側のメリットには、主に上記があげられます。最も強調したいメリットは転職潜在層に出会えるという点です。転職潜在層とは、まだ積極的には転職活動をしていないが気に入る企業があれば転職したいと考えている人材です。そのため、転職イベントに参加しないと出会えない層ともいえます。

また、マッチングした人材のみ採用選考へ進められるので、効率的な採用が実現できるのもメリットのひとつ。広告媒体だと伝えづらい自社の魅力も、直接アピールできるのもポイントです。他にも、イベント主催企業のサポートとしてスカウトメールの送信や、自社ブース以外で気になる求職者と話せるスカウトカフェコーナーの利用などができます。

求職者側のメリット

  • 気になる企業の社員と直接コミュニケーションがとれる
  • 多くの企業を比較できる
  • 書類選考や一次面接が免除になる場合がある
  • 予約不要、無料で参加できる
  • 求人サイトにはない企業と出合えることがある
  • 転職に必要なサポートを受けられる

求職者側の大きなメリットとしては、多くの企業を直接肌で感じながら比較できるという点があげられるでしょう。求人広告だけでは分からない社風や社員の雰囲気などを直接見ることができます。もちろん予約不要で費用も無料なので、気軽に参加できるのもポイント。

さらに、転職イベントでしか募集していない企業と出合えることもあるので、より転職活動の幅が広がるでしょう。面接対策やキャリア相談会といったセミナーも同時に開催されているので、転職に必要なノウハウをまとめて得られるのもメリットのひとつです。

まとめ

求人サイトへの掲載やエージェントに任せるなど、中途採用活動にはさまざまな手段があります。しかし、自社が求める人材になかなか出会えなかったり、採用後の定着率が低かったりと、採用活動に難航する企業も少なくありません。このような時は、ぜひ転職イベントへ出展を検討してみてはいかがでしょうか?

多くのメリットがある転職イベントですが、出展することで採用ノウハウが新たに蓄積されるはずです。仮にそのときに人材確保できなくても今後の採用活動にその経験を活かせるはずなので、ぜひ参加してみてくださいね。

この記事を書いた人
よしたかあしょう

新卒で人材営業を経験のちに、文章の楽しさにめざめライターへ転身。音楽系メディアや地域情報誌(フリーペーパー)での執筆を経たのち、サイト制作でCMSライティングを学ぶ。現在は、人事・経営関連の記事を中心に執筆中。

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