ティール組織とは何?基本的な考え方とメリット・デメリット

組織

最近、従来の組織のあり方にとらわれない新たな組織形態が注目を集めています。

これまでは役職と権限に基づいた「ピラミッド型」の組織が企業組織の主流でしたが、ホラクラシー組織やティール組織など階層のない組織が生まれています。今回はそのうち、「ティール組織」について解説します。

ティール組織とは|進化した組織の形

ティール組織は、フレデリック・ラルーの著書「ティール組織」(原題:Reinventing Organizations)によって紹介されました。ティール組織の特徴は以下の3つです。

  • 1、存在目的に耳を傾ける:自社がなぜ存在するのか、常に社員全員が存在目的を意識する
  • 2、自主経営:課題に気づいた社員が自主的に行動する
  • 3、全体性:ありのままの自分を職場で発揮する

ティール組織には従来の「ピラミッド型組織」のような階層がありません。そもそも、現代の組織のもととなる考えは、1900年代にフレデリック・テイラーが提唱した「科学的管理法」に基づくものです。

テイラーが生存していた時代は、ものを大勢の人数で大量生産する時代でした。テイラーは組織を「計画する人」と「計画を実行する人」に分け、生産性を効率化する組織形態を考えました。この考えが現在のピラミッド型組織における「管理職」と「一般社員」の原型です。

今までは「計画する人」である「管理職」が「実行する人」である「一般社員」を管理することが主流でした。「管理職」は「一般社員」に成果を上げさせるために、権限により情報や行動をコントロールしてきました。

書籍「ティール組織」の中で、フレデリック・ラルーはこうした従来の組織を「達成型組織」と呼んでいます。この「達成型組織」と異なり、「ティール組織」は「管理職」と「一般社員」という定義がありません。「ティール組織」は従来の「達成型組織」からより進化した組織の形なのです。

ティール組織のメリット|成長し続ける組織に

ティール組織を導入することで、組織をフラット化できます。「計画する人」と「計画を実行する人」という定義がなくなるため、組織の中の人材が「計画」と「実行」の両方を担うことができます。
計画しながら実行することが可能になり、物事をスピーディーに実行し、失敗しても素早く軌道修正することができます。

また、従来の「達成型組織」では「実行する人」がいなければ組織が成り立ちません。特に労働生産人口の減少する日本では、「計画する人」「実行する人」という役割分担では人材不足を乗り切ることができません。

現に、多くの日本企業では中間層の不足により本来は「計画する人」であるマネージャーが「プレイイングマネージャー化」しています。中間層の不足している企業でティール組織を導入すると組織をフラット化でき「実行する人」を増やすことができる可能性があります。

「ティール組織」はこのように、不確実性の高い現代で成長し続けるために適した組織形態だと言えます。

ティール組織のデメリット|個人の自立が大前提

上記のように、ティール組織には従来の「達成型組織」組織における「計画する人」と「実行する人」という区別がありません。

「達成型組織」では、上司が部下に仕事の指示を出すことが行われますが、ティール組織では組織に所属する一人一人が自分が何をするかを考え実行することが必要です。

組織の存在目的をよく理解し、そのために何ができるかを常に考えます。そして考えたことを実行するために、必要な「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などの経営資源を自ら獲得していく必要があります。

このように、全員が組織の存在目的を理解していることを前提とし一人一人が自立的に考えたことを実行していけることが「ティール組織」の大前提となっています。従来の「達成型組織」から「ティール組織」に移行するためには、従業員一人一人の考え方を大きく変える必要があります。

まとめ

書籍「ティール組織」は世界中で大ベストセラーとなりました。しかし、単純に「ティール組織」が良いということではありません。

組織は戦略や理念を実行する手段の一つでしかないからです。今までは多くの企業が従来の組織管理方法である「達成型組織」を採用してきただけにすぎません。

「ティール組織」について知ることで、事業や組織の目的を考えた際、本当はどんな組織がよいのか、考えるきっかけを得ることができます。

あなたの所属する組織は、本当はどのような形態がよいの考えてみてはいかがでしょうか?

タイトルとURLをコピーしました