中小企業の新卒・中途採用は難しいと嘆く前にやってほしい施策14選

リクルート 採用

近年、採用活動において、求職者が入社する企業を選ぶことのできる売り手市場が続いています。そのため、大手企業に比べて知名度がそこまで高くない中小企業は採用活動に難航しているのが実情です。常に適切な施策を打って採用活動をしないと、競合他社に優秀な人材を確保されてしまう事態も考えられます。

今回は、新卒採用・中途採用に分けて今から行うべき施策をご紹介します。「中小企業の採用方法が分からない」「若年層の採用に力を入れたい」「自社のアピール方法を知りたい」という方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

中小企業の採用が難航しやすい理由

そもそも、大手企業に比べて中小企業の採用が難航しやすい原因はなんでしょうか?「採用に向けた予算確保が難しい」「人事と総務が一体化しており採用にあまり労力を割けない」など理由はいくつかありますが、主には知名度が関係しています。

例えば、「好きな動物は?」と聞かれたときに何と答えますか?多くの方はパンダ・ゾウ・キリンなど動物園でよく見かける動物の中から答えるはずです。よっぽどの動物マニアでもない限り、プロングホーンなどあまり知名度のない動物を回答する方はまれでしょう。

求職者にとって採用活動も同じです。「就職したい企業は?」と聞かれたら、自分の知っている企業の中から向いていそうなところをピックアップします。仮に興味のある業界があり、多くの企業をリサーチしていてもすべての会社に目を通すことはほぼ不可能です。中小企業への応募を考えている求職者でも、大手の採用が終わってから応募するケースが多いため、どうしても採用へのスピード感が遅くなってしまいます。

こうならないためにも、中小企業は採用活動に工夫を凝らすことが必要不可欠。先ほどの動物の例を使うと「プロングホーンは、シカのような見た目だがライオンと同等の足の速さ」という特徴があったらどうでしょう?走っている姿を見てみたいと思いませんか?このように、大手に比べて知名度の低い中小企業は、自社の最大の持ち味を求職者に見えるところでアピールすることが重要なのです。

新卒採用に向けた施策とポイント

中小企業は求職者へのアピールが大切だと分かったところで、新卒採用を行う際の施策をいくつかご紹介します。施策ごとのポイントもあわせて解説するので、取り入れやすいものからぜひ始めてみてくださいね。

施策を試す前に、採用を成功させるための第1ステップとして社内の共通認識が重要だということを念頭においてください。新入社員に求めることを社内で徹底的に話し合い、人物像をイメージしておきましょう。また、企業が求める点を100%クリアしている人材が来る確率は限りなく低いので、譲れない部分に優先順位をつけることも大切です。ここがブレると採用後のミスマッチに繋がるため、採用活動前に必ず明確にしておきましょう。

施策①:「SNS」「自社ブログ」「オウンドメディア」などの運用

まずは、ITをフル活用した施策をご紹介します。近年、自社のSNSやブログ・HPを運用する企業が増えています。ちなみに「オウンドメディア」とは、自社で保有・運用しているメディアを総称する用語で、お役立ちコンテンツなどの記事を公開している企業が多く存在います。

これらを運用する最大のメリットは、手軽に多くのユーザーに自社をアピールできる点です。求職活動をする際に、紙媒体だけで情報収集をする方はかなり少なくなっています。スマートフォンやPCを使って情報を集めるのが主流の現在、Webで自社をアピールするのは非常に有効な手段と言えるでしょう。また、今すぐには転職を考えていないがゆくゆくは転職したいと考えている潜在層へのアピールも可能。SNSやブログで自社製品の製造工程を動画で掲載し、その職人技が大きな反響を呼び知名度があがった中小企業などもあります。

施策②:インターンシップの導入

新卒採用に力を入れている企業におすすめなのが、インターンシップの導入です。インターンシップとは、学生に短期間だけ自社の勤務を体験してもらう取り組みのことを指します。期間は数日~数カ月と幅があり、企業によってその内容もさまざまです。

最大のメリットは、企業と求職者間のミスマッチを防げる点と、優秀な人材を早期確保できる点です。正式な入社前に職場体験をしてもらうので、お互いがマッチングすれば採用成功の確率が高まります。また、夏・冬の2段階に分けてインターンシップを行うことで優秀な学生を繋ぎとめておくことも可能です。このとき何よりも重要なのは自社の魅力が最大限に伝えられるようなコンテンツを準備しておくこと。世界屈指の技術力が売りにもかかわらず、事務方の作業ばかり用意していても魅力は伝わりません。工場見学ができたり希望職種の社員とお話ができたり、学生が魅力に感じる内容を盛り込みましょう。

施策③:セミナーやトークセッションの開催

多くの中小企業が実施しているのが、セミナーやトークセッションの開催です。自社で行うのもよいですが、合同説明会など多くの学生が集まるイベントに参加すると効率が良いでしょう。「SNS運用に自信がない」「インターンを実施する余裕がない」という企業は、まずセミナーやトークセッションを開催してみてください。

最大の特徴は、多くの学生と直接話せる点です。合同説明会には20万人以上もの学生が参加する大きなものも存在します。一方で、規模が大きなものだと大手もこぞって参加するため、競争率が高いのも事実です。地方の学生に特化したものや理系の学生向けなど幅広く開催されているので、ぜひ自社にあったものに参加してくださいね。

施策④:会社説明会・面接のオンライン化

ITの進化にともない、会社説明会や面接をオンラインで実施する企業も増えてきました。学生も交通費をかけて企業まで訪問する必要がなく、企業側も学生の受け入れのための準備をする必要もなくなり非常に効率的です。首都圏での就職を希望しているが現在は遠方に住んでおり、頻繁に企業説明会へ参加するのが難しいという学生が参加できるのもポイント。

オンラインであれば自宅からの参加も可能なので、今まで埋もれていた優秀な人材に出会う確率も高くなります。インターネットとセキュリティ環境が整えばすぐに実施できるので、ぜひオンラインでの採用活動も視野に入れてみてください。

施策⑤:「ダイレクトリクルーティング」の実施

売り手市場の近年、企業は待ちの姿勢だけでは優秀な人材確保がしづらくなっています。そこで主流となっているのが「ダイレクトリクルーティング」という、企業側から入社してほしい人材にアクションをかける攻めの採用方法。主には、人材データベースに登録し、気になる求職者へ直接メールを送ることが多いです。求人サイトと違い、今すぐではないが魅力的な企業があれば就職を考えるという優秀な登録者が多く存在するため、求人サイトでは出会えないような人材に自社を直接アピールできるのです。

施策⑥:「ソーシャルリクルーティング」の実施

「ソーシャルリクルーティング」とは、SNSを活用した採用方法のこと。FacebookやTwitter、YouTubeなどを利用して採用活動を進めていきます。近年、人脈を広げる目的で積極的にSNSを利用する学生も増加しています。頻繁に投稿しているようであればSNSを見るだけで大体の人物像を把握できることもあり、利用する企業は徐々に増えてきています。

自社のアカウントに求人を掲載し、気になる求職者を見つけたらDM(ダイレクトメール)を送るなど、方法はさまざま。ダイレクトリクルーティングを行う担当者がいない場合は、求人を公開して応募者を待つという使い方ももちろん可能です。無料のSNSを利用すれば、コストを抑えながら採用活動を進められます。

施策⑦:マッチングサービスの利用

「自社の力だけでは限界がある」「採用のプロに任せたい」という企業は、マッチングサービスの利用がおすすめです。マッチングサービス=中途採用というイメージが強いかもしれませんが、新卒に特化したサービスもあるのでご安心ください。自社の力で採用活動を行うと、コストは抑えられても時間がかかったりノウハウの蓄積に難航したりと、採用のハードルが低いとは言えません。自社のニーズに見合った転職サイトの利用や人材会社への依頼で、手間を大きく省けます。また、採用が成功した段階で手数料が発生する成功報酬型が主流なので、ランニングコストが大きくかからないことも魅力のひとつでしょう。

一方で、基本的にはマッチングした人材が見つからない限り、待ちの採用活動になるので、スピード感はそこまで期待できません。今すぐに人材が欲しいという場合は、その他の施策も同時に試すことをおすすめします。

中途採用に向けた施策とポイント

次に、中途採用にぴったりの施策とポイントをご紹介します。新卒採用と同様に、採用活動前に社内で求める人物像を明確にし、共通認識を持つことが重要です。中途採用においては経験やスキルを重視したい場合が多いので、必要とする経歴に細かく優先順位をつけておきましょう。

施策①:「SNS」「自社ブログ」「オウンドメディア」などの運用

中途採用においてもSNSの運用やオウンドメディアを通して自社の魅力をアピールすることは、非常に有効な採用方法です。老若男女問わず不特定多数に向けて、企業情報を手軽に公開できます。ほとんどのSNSは無料で利用できるので、コストがかからないのも魅力です。

中途採用をメインに進めたい場合は、転職経験のある新人社員のインタビュー記事やスキルアップができる環境を紹介した動画の掲載などがおすすめ。今の会社よりもここで働きたい!と思わせるようなコンテンツを配信するよう工夫しましょう

施策②:合同説明会への参加

新卒と同様に、中途採用向けの合同説明会も多く存在します。大手企業であれば自社でセミナーやトークセッションを実施しても参加者は集まりますが、中小だとなかなか集まらないのが実情です。そのため、より多くの求職者と直接コミュニケーションが取れる合同説明会への参加がおすすめ

「IT業界」「介護・看護」「クリエイター」など職種に特化したものから、「若年層限定」「女性向け」「UIターン」など近年需要が伸びているものまで、多くの合同説明会が存在します。同時に求人広告への掲載ができるようなプランを用意している説明会もあるので、予算やニーズにあわせてぜひ参加してみてくださいね。

施策③:面接・セミナーのオンライン化

より効率よく採用活動を行う方法として、面接のオンライン化が挙げられます。インターネットの発展とともに、オンラインでの採用活動が普及してきました。企業にとっても求職者にとっても、コストの低下や時間の有効活用などメリットは多いです。2020年3月より条件をクリアすれば国からIT導入補助金が交付されるようになりました。導入方法が分からないという企業は、まず窓口に相談してみるといいかもしれません。

自社ならではの知識やスキルを磨いてきた企業は、それを他社に共有するセミナーを開くというのもひとつの手です。少人数制であればオフィス内でも開催でき、前もってSNSを運用していれば参加者も集めやすいので、中小企業でも実際に定期開催しているところは少なくありません。もちろんこちらもオンライン化できるので、より各地から多くの参加者を募ることができ、自社の知名度上昇にもつながるでしょう。

ただ、直接会えないため双方の雰囲気を感じ取りにくい、設定に戸惑う、通信環境によってはタイムラグが生じるといったデメリットもあるので注意しましょう。

施策④:「ダイレクトリクルーティング」の実施

気になる人材に企業側からアプローチをかける「ダイレクトリクルーティング」は、売り手市場の転職市場においても非常に有効的な採用手段です。人材業界やハローワークを利用すると、手間が省ける分「待ち」の状態が続いてしまいます。しかし、ダイレクトリクルーティングではスピード感を持った採用活動が実現できるのです。

自社にぴったりの経歴を持つ人材へダイレクトにアピールができる一方で、それがすぐに転職したいという訳ではない潜在層であれば、魅力のない求人の場合レスポンスされないことも珍しくありません。また、優秀な人材ほど忙しいものです。短くも印象に残るよう、自社の最大の魅力を端的に伝えられるようなダイレクトメールを心掛けましょう。

施策⑤:「ソーシャルリクルーティング」の実施

新卒採用の施策でも挙げたソーシャルリクルーティングは欧米では主流で、近年、日本でも普及するようになりました。

中途で優秀な人材を狙っていくのであれば、社員ブログなどとリンクさせて使うと効果的です。一方でコンプライアンス違反などから炎上してしまうと、すぐに拡散されマイナスイメージに繋がることもあるので気をつけましょう。

施策⑥:「リファラル採用」の実施

「リファラル採用」とは、社員の知人・友人を紹介してもらう採用手段のこと。実際に社内をよく知る社員が見込んだ人材なので、マッチング度を高められると注目されている方法です。

社員紹介のため採用コストはほとんどかからず、ある程度の信頼性を持った採用が可能です。一方で、採用フローが明確になっていないと、なかなか紹介しづらいというデメリットもあげられます。社員にとっても知人を紹介したいと思えるような仕組みづくりが必須となるでしょう。

施策⑦:マッチングサービス・ハローワークの利用

採用活動に割く時間がないという際におすすめなのがマッチングサービスの利用です。転職市場に明るい人材のプロがサポートしてくれるので、右も左も分からない方でも安心です。エージェント側でぴったりの人材を探してくれるので、自社でやるべきこともほとんどありません。費用としては、人材採用が成功した段階で理論年収の約30%~35%が手数料となる場合がほとんどです。

また、ハローワークを利用すれば、求人掲載料や人材の紹介料もかからないのでコストを大幅に削減することができます。職員の方が求人の書き方や掲載の流れまでサポートしてくれるので、初めて利用する企業でも問題なく進行できるはずです。一方で、求人のフォーマットが細かく決まっているため他社と差別化できなかったり、条件とマッチする求職者と出会いにくかったりというデメリットもあります。無料で利用できるとあって、利用する企業も多いため求人が埋もれてしまうこともあるでしょう。

予算と採用したい人材の特徴を加味しながら、最適なサービスを検討してください。

まとめ

現在、働き方改革の浸透やテレワークの導入などによって働き方は変化し続けています。それに伴い産休・育休・社内託児所・ペット手当・時短勤務といった制度を導入している企業も少なくありません。時代に合わせながら、常に自社で働くメリットを模索することが重要です。

自社の魅力となる福利厚生などを見直したら、それを大々的にアピールし続けていくことで、求める人物像に近しい応募者を集められるのではないでしょうか。採用活動が難航したら、ご紹介した施策を試してみてくださいね。

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この記事を書いた人
よしたかあしょう

新卒で人材営業を経験のちに、文章の楽しさにめざめライターへ転身。音楽系メディアや地域情報誌(フリーペーパー)での執筆を経たのち、サイト制作でCMSライティングを学ぶ。現在は、人事・経営関連の記事を中心に執筆中。

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