労務管理とは、会社が立ち上がったら必ず必要になる業務ですが、一回行えば完了というわけではなく、経営が続く限りずっと続く業務でもあります。それも煩雑なものばかりなので、正直厄介な作業といえるでしょう。
厚生労働省が実施している「電子申請に関するアンケート調査結果(平成30年度)」によると、電子申請のメリットは「行政機関へ出向くための移動時間や待ち時間の節約になる」、「24時間365日いつでも申請や届出ができる」と回答している方が多いようです。
つまり、労務管理ができるシステムを利用すれば時短ができたり、効率的な業務のコントロールが可能になるかもしれないということです。
労務管理とは
労務とは労働についての事務全般のこと。報酬を目的とした労働そのもののことも労務というため、区別する目的で「労務管理」ともいわれています。
具体的には従業員の入退社の手続き、勤怠管理、給与計算など。かつては紙ベースで行われていましたが、正社員やアルバイトといった勤務形態や役職などによってひとりずつ条件や計算方法が変わるため、従業員が増えれば増えるほど煩雑化する業務です。
労務管理システムを導入すれば、今まで手作業で行っていた業務をアプリ上、あるいはweb上で一元管理でき、そのまま電子申請することもできます。システム契約にはもちろん費用がかかりますが、企業の規模拡大に伴う労務管理に携わる必要人員の採用増加や必要工数、必要時間を考えると、長い目でシステムを導入した方が効率的な場合もあります。
効率化できる業務は?
一般的に、労務管理システムで効率化できる業務は下記が挙げられます。
- 入退社手続き
- 勤怠管理
- 給与計算
- 電子申請
- 帳簿作成
- 年末調整
- マイナンバー管理
いずれも必要な情報を取り込むだけで、自動で反映してくれたり、その業務を簡易化してくれたりします。
以下からは、特に初めて労務管理システムを導入する企業におすすめのソフトを紹介します。
ジョブカン労務管理
シリーズ累計70,000社以上の導入実績を誇る「ジョブカン労務管理」は、使いやすさに特化したつくりで、労務管理業務自体にまだ慣れていないという方も安心して使うことができます。まず登録作業があっという間で、即日開始できるというのも魅力。初期設定を代行してくれるオプションまでついています。
クラウド型サービスで、従業員情報を一元管理でき、あらゆる手続きを自動で作成→電子申請(有料プラン)可能。チャットサポートや手続き案内機能など、ソフトの扱いに慣れていない方もすぐに使いこなせるような設計が特徴です。
さまざまなソフトと連携できますが、「ジョブカン勤怠管理」や「ジョブカン給与計算」といった同シリーズのソフトと連携すると自動でデータが取り込まれるため、労務管理業務だけでなくバックオフィスを簡単に一元化させることも可能です。30日間は無料で試すこともできるので、検討されている方は使ってみて考えるというのもよいのではないでしょうか。
料金プラン
無料プラン | 有料プラン | |
初期費用 | 0円 | 0円 |
月額費用 | 0円/ユーザー | 400円/ユーザー |
従業員数 | ~5名 | 無制限 |
SmartHR(スマートエイチアール)
こちらもクラウド型サービスで、毎月1,000社以上が導入しているという人気のソフトです。質問に答えるだけで簡単に書類が作成できるという、直感的に使える設計が最大の特長。
e-Gov APIと連携しているため、役所やハローワークへの電子申請、書類提出も時短できます。従業員情報も一元管理できるので、社労士がいない企業にもおすすめ。項目の追加、ユーザーによって異なる権限を付与することも可能なので、自社に合わせてカスタマイズすることで、より使いやすく作り変えられます。
無料プランで使える従業員数の上限が大きめなので、小規模の企業はまずこちらで導入してみて、ゆくゆく有料プランに移行するのはいかがでしょうか。実際、零細企業から10,000名規模の企業まで導入実績があるようです。
料金プラン
¥0プラン | スモールプラン | スタンダードプラン | |
月額費用 | 0円 | お問い合わせ | お問い合わせ |
従業員数 | ~30名 | ~50名 | 50名以上 |
※¥0プランは一部機能の利用不可
※いずれのプランも初期費用は無料
オフィスステーション
119種類もの帳票に対応しており、もちろんPDFでそのまま電子申請も可能(種類による)のソフトです。最大の特長は業界最安値といわれているほどコスパがいいこと。年末調整、有休管理、マイナンバー管理など、欲しい項目だけ選べばいいというのもシンプルで使いやすい設計です。
契約期間も月単位、年単位(1年・3年・5年)から選択でき、長期であればあるほどお得なので、継続利用を検討している場合には適しているといえるでしょう。
もちろんe-Gov APIと連携しているので、電子申請も簡単。感覚的な操作が可能で、従業員情報も簡単に収集→データ化してくれ、無駄な手間が省けます。サポートデスクに社会保険労務士有資格者が在籍しているというのも安心できます。
料金プラン
労務・年末調整・web給与明細・有休管理・マイナンバー管理といった「オフィスステーションシリーズ」をすべて利用する場合
年間利用料 | 月額 |
472,000円(従業員100人の場合) | 394円/ユーザー |
オフィスステーション労務のみを利用する場合の従業員数と月額
従業員数 | 月額 |
~10人 | 900円 |
~20人 | 1,800円 |
~50人 | 10,000円 |
~100人 | 20,000円 |
~200人 | 40,000円 |
~300人 | 60,000円 |
301人~ | お問い合わせ |
人事労務freee
月300円/ユーザーで利用できるコスパの良さが魅力の人事労務freeeですが、機能の幅も広く、しかもガイドに沿って入力するだけで完結できる簡単設計も特長。もちろん複数の作業の中で共通利用できる情報は一度入力するだけで流用できます。
クラウド会計ソフト「freee」シリーズのひとつで、各社サービスと連携できるよう勤怠APIを公開しており、扱いやすさも支持されるポイントです。モバイルアプリも併用可能で、給与明細の閲覧、勤怠の打刻ができます。
コストと機能面から多くの企業が選んでおり、100,000事業者が利用しています。もちろんサポート面も安心で、チャットとメールで問い合わせできるため、なにかトラブルが起きた際もすぐに対処してくれるでしょう。
料金プラン
年額プランの1か月あたりの金額と機能
ミニマムプラン | ベーシックプラン | プロフェッショナルプラン | エンタープライズプラン | |
月額 | 1,980円~ | 3,980円~ | 8,080円~ | お問い合わせ |
ユーザー1人あたり | 300円/ユーザー | 500円/ユーザー | 700円/ユーザー | お問い合わせ |
機能 | 労務管理業務全般 | 勤怠打刻等追加 | フレックスタイム制に対応等 | 従業員名簿等追加 |
jinjer労務(ジンジャー労務)
入退社手続きを1クリックで可能にしたこちらは、あらゆる複雑なデータも一目でわかるUIが魅力です。スケジュールやTODOを可視化する機能もついており、申請漏れなどを防ぐこともできます。
クラウド型サービス(スマホにも対応)で、ほかのjinjerシリーズと連携させて利用することも可能なので、勤怠管理、経費精算、給与管理など人事業務のすべてを集約させてしまえば、時短、人件費削減に繋がること間違いないでしょう。
従業員1人あたり300円で利用できるという導入ハードルの低さも魅力です。利用するサービス(jinjerシリーズの展開しているサービス)数に応じて費用も異なるので、まずは一番安価なプランで始めてみて、徐々にすべての作業を集約していくという使い方もいいのではないでしょうか。
料金プラン
HR Light | HR Standard | HR Premium | |
初期費用 | 100,000円 | 150,000円 | 200,000円 |
月額 | 300円/ユーザー | 600円/ユーザー | 1,000円/ユーザー |
サービス数 | 1 | 3 | 5 |
労務管理システムは自社に合ったものを
労務管理システムは時短、人件費削減に繋がるため、導入という初期投資をしてもいずれコスト、リソースカットに役立つということは前述しましたが、そうはいっても、労務管理を今まで手作業で行っていた企業はなかなか新しいツールに手を伸ばしにくいものです。
ソフトによっては初期費用がかからなかったり、無料プランを提供しているものもあるので、まずはそういったものを取り入れてみて、使い勝手を試してから有料プランに切り替えたりほかのソフトに移行してもいいかもしれません。
具体的に導入を検討し始めている場合は、労務管理業務をすべてシステム化したいのか、それとも一部の項目だけでいいのか、継続利用を目的としているか、それとも年末だけなど期間限定利用の予定なのか、会社規模はどのくらいか、何人でこのシステムを利用する予定か、など、ニーズを明確にしてから、それに合ったソフトを探すといいでしょう。
システム管理に切り替えることで、ヒトの仕事が減るのではなく、時間をより有効活用できるようになると捉え、計画的に利用することを重視したいですね。