採用キャッチコピーの作り方~「アットホームな会社です」は危険です~

採用

採用キャッチコピーに注力していますか?
今や、熾烈を極める企業間での求職者争奪戦。ただ待っていては優秀な人材はやってきません。こちらから仕掛ける必要があります。以前よりコスト・工数を掛けるのが当たり前の時代。どのように自社へと導くか。興味を持ってもらうためには、魅力をわかりやすく伝えることが大事です。
となれば、応募したいと思わせるには何をした方がよいか。どの要素に頭を使うのが有効か。一つはずばり、本記事でフォーカスを当てるキャッチコピーです。

意外と疎かにされているのか、どこもかしこも似たような惹句が並びます。だからこそ、差別化を図れるチャンスです。
何とはなしにつけていたコピーのなかには、誤解されがちな固定観念もあります。
作り方にコツがあることを知らず、たとえばタイトルよろしく安易に“アットホームな会社です”などと謳ってしまえば、今の時代、求職者は何を思うかご存知でしょうか。
詳しくは後述しますが、実は逆効果に働くことも少なくありません。そう、敬遠されてしまうのです。

本当は奥深い、でも視座を変えるだけで状況が好転しやすいともいえる採用コピー。
気付かないままだと危険です。
大事だとはわかっているけれども要領を得るのに苦労されている方もいらっしゃるでしょう。

まずは思考停止せず、巷で溢れる陳腐なコピーに懐疑的な視線を送ってください。
そのうえで、ポイントを整理し、オリジナリティ湛える(求職者に対して)リアルな訴求力を養いましょう。
拙稿が参考になれば幸いです。

それでは、どうぞご一読ください。

採用コピーとは?

コピーが掲載されるやすい採用サイトのイメージ

採用におけるキャッチコピー、すなわち採用コピーとは、ターゲットである求職者の目を引く一言を指します。

電車広告やWebサイトのファーストビューで大きく打ち出されている、就職・転職活動を行う方々に向けた、いわば接点となる合言葉といってもいいでしょう。
その言い回し一つで企業に興味・関心を抱き、場合によっては応募へとつながる可能性があります。
「成長」「革新」など、会社がどかんと掲げるメッセージに、共感を覚え愛着が増す人たちも多いことでしょう……?
果たして、こうした聞こえの良い言葉に引き込まれる方々は本当に多いのでしょうか。甚だ疑問です。
もちろん、コピー自体には影響力があると考えます。
しかし、それをそのまま額面通りに受け止める求職者は、そういないはずです。
修飾・転職はリスキーです。とりわけ後者は慎重になる傾向にあります。
間違った選択を回避すべく、誘惑にも近い甘言めいた採用コピーには警戒心を持つのが、今の時代の求職者の思考として自然です。

そういうわけで、採用コピーとは何かを定義づけるにあたっては、現代に合わせた価値観で書き換える必要があります。
筆者が大事だと考えるのはオリジナリティ。

つまり、採用コピーとは、ターゲットである求職者の本音や不安に刺さる独自の一言です。
したがって、常套句の取り扱いには注意しましょう(必ずしもご法度というわけではありませんが、用心は必須です)。

よくある採用キャッチコピーには危険がいっぱい?

本当は怖いよくある採用コピー

転職サイトや求人サイト、企業の採用サイト、いずれも多くの会社が謳う定番のキャッチコピーがあります。以下、挙げてみましょう。

アットホームな会社です

出ました、大、大、大定番(笑)。要注意度100とんで200%!!!

と、つい取り乱してしまいましたが(汗)、アットホームな職場であることをアピールする企業は非常に多いです。飲み会や社員旅行の様子を写真に収め、前面に打ち出すことで、それを見た求職者が「楽しそう!」と思い応募に至るという算段なのでしょう。行き過ぎた宣伝となると、仕事の時以外も仲が良いとまで触れ込む組織も存在します。おそらく一昔前までは、一定の効果をもたらしたのかもしれません。

しかし、現代においてはどうしたって逆効果。目の当たりにする文言のからくりを大抵の求職者、特にネットユーザーは熟知しています。「強要、強制が当たり前ってことなのだろうな」「右も左も分からない人を洗脳しようとしている」「結局それって私生活にまで介入してくるってことでしょ」「職場と家庭は別です」「強み・特徴はそこなの?」「アットホームな会社を謳うところはほぼブラック企業」インターネットで検索すると、大方、否定的な反応や考察で溢れています。それらは体験談に基づいたものも多く、ただの罵詈雑言ではなく説得力を帯びています。

一次的な発信が二次的、三次的とつながり、結果、このコピーを掲げる企業への警戒心が強まり、求職者が寄り付かなくなるのです。

若い仲間たちが集まっています

このコピーに対して、目の肥えた求職者はこう捉えます。「単純に年齢を重ねる前に、辞めているだけ」「離職率が高い職場であることを自ら宣言している」「社員が定着しないのですね」「入ったばかりの人しか残っていないのでは?」
全てお見通しといわんばかりの厳しい反応。

また、若い力が集まり、会社が急成長しているといった類の惹句も、「結局若手をこき使っているだけ」「給与の低い新人が可哀想」といった具合に、実際のところ若年層がイニシアチブをとって企業の発展に貢献していたとしても、悪いように受け取られてしまう可能性があります。

学歴・職歴・年齢不問、未経験大歓迎

「戦力を求めているはずなのに、なぜキャリアを問わないのか?」「誰でもいいということか?」「周りの社員もそのレベルなのか?」
一見、入社難易度の低さ、開かれた門戸につい身を乗り出してしまいそうになりますが、少なくとも引く手あまたから求められる優秀な人材からは疑念の目を向けられるでしょう。

応募してもらえれば本当に誰だっていい、というのであれば一定の成果につながるとは思いますが、何かと多くのトラブルが付きまとってくるリスクも念頭に置く必要が出てきそうです。

店長・幹部候補募集中

「あくまで候補止まりで終わりそう」「責任だけ押し付けられて待遇には反映されなさそう」「入社してすぐに店長(幹部)を任せるって組織どうなっているの?」

もう少し素直に受け取ってほしいというお店や企業側の声が聞こえてきそうですが、実際にこうしたコピーを悪用し、ブラックな労働環境を強いた組織があるからこそ、求職者は慎重になり、最悪のシチュエーションを想像しながら求人情報を精査しているのだと考えます。

うまく補足、もしくは言い回しをバッサリ変えるなどし、誤解を招かないようにすることが必要かもしれません。

求めているのはあなたの熱意

「過酷なノルマが待っていそう」「いかなる理不尽も熱意ですべて片付けられそう」「典型的な精神論がはびこっているな」

これも決して求職者を地獄へ陥れるためのコピーではなく、むしろ手を差し伸べているにもかかわらず偏屈な見方をされてしまう例です。うがった解釈は本質を見極めようとするもの。ゆえに肯定的に捉える向きもありそうですが、リスクヘッジも含めて不安要素を拭うのは難しいかもしれません。

やはり一工夫が欠かせないと思います。

やりがいのある仕事です

「やりがい搾取でいつまでも働かされる」

悲しい哉、これがとりわけインターネット上では世論として圧倒的に多い解釈でしょう。

業績好調により事業拡大

「業績好調なら、現状をキープすればいいじゃない」「ただの人手不足にしか思えない」

企業は常に成長していかなければいけません。現状維持は停滞ひいては退化です。が、安定志向な求職者の目線は時に、わざわざ人を雇う必要性は別に理由があるのではないか、と考えてしまいがちです。

募集背景を言及するにも確固たるロジックが求められます。

採用キャッチコピーの新しい作り方

潔い採用コピー

さて、上述したように巷でよく見られる採用キャッチコピーは、そのテンプレート性も相まって卑屈な見方をされてしまうリスクが生じます。
そこで、どのような文言にすればよいか。考え方だけでもお伝えできればと思います。
必要なのは具体性とユニーク性。とはいえ、奇を衒うことだけを考えてしまうと、求職者に新たな不安を喚起させてしまう恐れもあります。したがって安心感のある大手企業のキャッチコピーもひとつ参考にしても良いでしょう。
これらの要素をうまく絡めて、端的に明確に、理想論はほどほどに、そのお店、企業ならではのウリを伝えてください。

カルチャーフィットが何より大切。であれば強みとともに実態をぶつける。もちろん表現は意匠を凝らしてみた方がいい。活躍している人と、早々に挫折してしまった人のタイプを伝えることも、見る人、読む人を自分事化させられるのでおすすめです。

採用キャッチコピーで中小・零細企業が目指す方向性

中小・零細企業向け採用キャッチコピーの打ち出し

先に大手企業のキャッチコピーも参照できると述べましたが、お手本にすべきはその言い回しや文字数、フォントデザインといった体裁や形式の部分です。訴求ポイントは各企業、もっと広い範囲だと中小企業、零細企業全体において、発信する意味のある言葉があるはずです。

規模が異なるがゆえのアドバンテージ。等身大の会社と求職者、両方をつなげる何か。弱みを打ち出すことが功を奏すケースだってあるでしょう。極論、ブラックな面を列挙していくのも、逆に求職者へ安心感を与えるかもしれません。

求職者目線に立った採用キャッチコピーを!

採用キャッチコピーに踊らされない優秀な求職者たち

なんだかんだいって求職者目線にどこまで立てるかという点に行き着くわけですが、一つのヒントとして自身の体験は大いに役立つと思います。就職活動、転職活動という貴重な体験があれば、何に惹かれて応募したかを掘り下げていくことで、募集する側に求めていたものが見えてくると考えます。おそらく、明確な動機はもちろん、今振り返ると無意識下で行動していた潜在的なニーズがあり、それらにうまく合致したところと縁を作りたいと思っていたのではないでしょうか。
自身だけに限らず、周囲にヒアリングし情報を集めるのも効果的です。

いずれにせよ、人にアプローチするためには人のことを知るというのがもっともリアルだという教訓。心理こそ真理だといえます。

採用キャッチコピーに関するまとめ

求職者を惹きつける採用キャッチコピーとは?

本記事で伝えてきたことをあらためて箇条書きすると、以下の通りです。
・聞こえのいいテンプレート的キャッチコピーを安易に使ってしまっては、かえって求職者の警戒を強めることになる
・キャッチコピーを作る際に心がけたいのは、具体的かつユニークで、それでいてシンプルで明快で等身大の特徴を巧みな言葉でさらけ出すこと
・当事者の目線や経験を生かすことは、リアルな言葉として効果的に作用する

求職者の視点を最大限考慮し、現実を理解していくことで、広く訴求できるキャッチコピーが生まれるかもしれません。まさしく採用広報。この先より多くのお店、企業が取り組んでいく課題だと思います。
当たり前ですが、一緒に働ける仲間とはお互い猜疑心を持ちたくないものです。応募前も応募後も入社前も入社後も、一貫してマッチングできているイメージを保てるのが理想的だな、とあらためて感じています。

採用におけるキャッチコピー、ぜひ注力してみてください。

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