体験⼊社とは︖実施するメリットと注意点 

採用

採用活動をするなかで「体験入社」を実施している企業もあるかと思います。しかし、成果がイマイチだったり、実施をしようと検討しているがどのようなものなのか具体的にわからなかったりという人事担当者の方も多いのではないでしょうか?この記事では人材探しに有効な、体験入社について詳しく調べてみました!

体験入社とはどのようなもの?

体験入社とは、企業へ入社を希望する人や興味のある人に対してお試しで一定期間入社してみて実際に業務を体験してもらうという制度です。実施期間は企業によってさまざまです。1日体験入社から長くて3ヵ月程度行う企業もあります。現在ではリモート体験入社を実施する企業もあるそうです。実施のタイミングも選考プロセスに含まれていたり、内定後に行ったりと企業によって異なります。

体験入社でミスマッチを避ける

求人情報に記載されている企業情報をもとに入社希望をする応募者は、そこに期待感や憧れも含めてしまい自身の理想のイメージを描いてしまいがちです。実際に一緒に働くメンバーと仕事をしてもらうことで人間関係や社風が合わない、思っていた仕事内容と違うといった、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

体験⼊社を行う⽬的

具体的な体験入社の内容は企業によって本当にさまざまなものがあります。実際に働いている社員や社内の雰囲気を体感してもらい、理解を深めてもらうことが一番の目的です。企業側にとっても書類や面接からは伝わってこなかった応募者の人物像を知ることができる良い機会となります。こういった目的を明確にすることで、より体験入社の効果を高めることができます。

体験入社を具体的に説明すると…

体験入社を実際に導入している企業は中小製造企業からIT企業までと多種多様です。いざ雇用契約を結び入社が確定してしまえば、後戻りすることは法律上難しいものです。思ったより作業が大変だった、社風や風土が自分には合わなかったという入社希望者と企業のミスマッチに気づくことができるのはもちろんのこと、新人の能力が発揮しづらい環境など、体験入社してもらったからこそ分かる改善点に気付くことができます。近年増加傾向にある早期退職を防ぐことにもつながり、双方にとってのメリットを見込めます。

インターンシップと体験入社の違いは?

上記でもお伝えしましたが、体験入社には企業によって様々な呼び方、定義があるようで「社会人インターンシップ」「就労体験」「体感転職」などの制度名が名づけられています。インターンシップは主に学生の職業体験向けに使われる用語です。企業の中で研修生として働き、スキルを身に付ける機会になります。基本的には無給です。(なかには有給の場合も有。)また、体験入社では実際の業務を経験することが多いのに対し、インターンシップでは架空の業務やプロジェクトを体験することが多いというのも特徴です。

企業側のメリットとデメリット

体験入社がもたらすメリットとデメリットを紹介します。自社に体験入社を導入するかどうか判断するときの参考にしてください。

メリット①ミスマッチを軽減し、定着率の向上

入社前に体験入社をすることで、入社希望者のイメージとのギャップを埋めることができ、入社後のミスマッチを軽減できるというメリットがあります。双方が納得したうえでの入社が可能なので、その後の企業への定着率も期待できます。社会人マナーやルールなどもそこで学ぶことができる体験入社は、まだ社会人経験のない学生にとってもなかなかない良い機会です。体験入社によって自社によりフィットする貴重な人材も見つけられるかもしれません。

メリット②自社の気付きがあることも

また、企業は採用前に体験入社を行うことで企業の課題や業務の改善点を見出す機会を得られます。社会経験のないまっさらな新卒生とのカルチャーギャップに気付くかもしれません。あるいは他企業や他業種の経験がある中途採用の場合は、異なる視点からの意見や新しいアイデアに触れることもあるでしょう。体験入社でのコミュニケーションがきっかけで新しい発見や企業課題に気付ければ、事業の成長・発展にもつながる良い機会だと言えます。

デメリット①賃金、人員などのコストがかかる

良い面ばかりと思える体験入社ですが、デメリットにも注目してみましょう。企業側が考慮する必要があるデメリットとしては、まず賃金を支払う必要があるということです。また当然のことながら、体験入社というプロジェクトを立ち上げるにあたり、それに伴う企画や運営に割く人員や時間などのコストも含めて事前に考えなければなりません。

デメリット②時間がかかる

もし選考のプロセスの一貫として体験入社を取り入れる場合は採用まで時間がかかってしまうことは必須です。また中途採用対象の場合には、現職との兼ね合いで参加が難しいという候補者も出てくる可能性があります。

デメリット③情報漏洩に注意が必要

今はネットやSNSへの投稿が盛んです。匿名なら誰が投稿したものなのか特定するのは非常に困難です。体験入社を実施する際には機密情報はもちろん、個人情報など漏洩を防ぐためにも事前に注意をアナウンスすること、身元をしっかりと確認をし、参加者との間にNDA(秘密保持契約)を結ぶなどの対策をするべきでしょう。

広がる体験⼊社実施の流れ

実際に体験入社を実施している企業をいくつかご紹介します。

チャットツールで有名な「Chatwork株式会社」

設立当初から採用選考に体験入社制度を導入しているChatwork株式会社では、採用のミスマッチを防ぐことに成功しており、社員の満足度・定着率を高めているそうです。人事中心ではなく現場メンバーも積極的に採用に関わり、会社全体で採用活動に携わることを重要視しています。体験入社で応募者に課題を行ってもらいながらカルチャーフィット、スキルマッチング、自然体の姿もきちんと見てから入社への本気度もしっかりと確認。入社後のエンゲージメントは高く、離職率も低いそうですよ。

人材の大手「エン・ジャパン株式会社」

実施前はネガティブな情報も隠すことなく公開していたのにも関わらず、離職者が出てしまうことがあり自社の中途採用活動に体験入社を導入。「体感転職」と名づけ、双方ともに納得度の高い転職、採用活動を実現しているエン・ジャパン株式会社では、以前にも増して会社情報をオープンにしています。求職者には会社のネガティブな面もポジティブな面もクリアにし、本当に納得した上で入社をしてもらうように心掛けているそうです。この制度をトライアル後、入社後1年後の定着率が100%を達成。正式に導入を決めたそうです。

最先端の教育アプリを開発「株式会社Globee」

スタートアップ企業、株式会社GlobeeはAI技術を用いた英語学習アプリを開発、運営しています。さらなる事業拡大に向けて採用を強化している同社では、話すだけでは伝え切れない面接、面接で話したことが真実か確かめてもらうことを理由に、希望者のみ「1日体験入社」と注目の「リモート体験入社」を行っています。特にリモート体験入社対象は今すぐ転職をしたいというわけでなく、良い会社があれば転職したいという層を対象に行っているそうです。体験入社で現場を見て、感じてもらうことを大切にしています。

体験⼊社を実施するにあたっての注意点

体験⼊社を実施する際に、企業側が注意しなくてはいけないことがいくつかあります。ひとつは⽬的を明確にしておくこと。入社意欲はあるのか?業務内容、社風にフィットしているか?能力を活かせそうか?など、体験入社期間中に観るべきポイントをクリアにしてから実施しましょう。また、良く見せようとせずになるべく普段のありのままの従業員の姿、姿勢で接することが望ましいです。

求職者にも見られている

希望者の一番の関心は、どのような人たちと一緒に、どんなふうに働くのかというところだと思います。求人媒体に載っている情報と間違いがないか?イメージとのギャップがないか?求職者も企業側同様に厳しくチェックをしています。数回の面接だけで本当にその企業に自分がマッチしているのか分からない求職者は少なくはありません。嘘偽りのない自然なコミュニケーションを心がけて、双方の理解を深めることが大切です。

一度は取り入れてみるのも◎  

体験入社を実施する企業も今後さらに増えてきそうですよね。入社後のことを考えると、体験入社はわずかな期間だけです。ですが、わずかな時間を一緒に過ごすだけで、関係性を構築するのがかなりスムーズになります。実施するためにコストもかかりますが、採用活動目的とともに企業ニーズへの理解が深まるチャンスだと捉えると、必要コストだと考えることもできます。何度か回数を重ね都度改善していければ、満足度の高い採用活動に一役買ってくれることでしょう。採用活動にさらに力を入れていきたいという企業は、一度体験入社を取り入れてみるのをオススメします。

この記事を書いた人
WAKABAYASHI Aya

東京在住。海外留学経験後、小売・美容業界からWEB業界へ転身。アナログとデジタルを分け隔てなく愛する筆者の最近のブームに家庭菜園があります。企業も人も手間暇かけて育てていくことが大切ですよね。

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