毎年多くの企業が誕生し、そして多くの企業が倒産していきます。一方で時代を超えて成長をつづける企業もあります。そのような組織では、少なからず強い組織作りを行っています。
成長を実現する強い組織とは、どのような特徴があるのでしょうか。強い組織作りのヒントをまとめてみました。
強い組織は「柔らかい」|キーワードは「フレキシビリティ」
強い組織は、従業員の業務内容や働き方に関して柔軟に対応しています。サイボウズは働き方や業務内容を柔軟に対応できる人事制度を整備していることで有名です。
サイボウズでは、働く時間、働く場所を社員が3段階で自由に選ぶことができます。サイボウズは、こうした「働き方改革」の取り組みで離職率を大幅に抑えるとともに、企業としても成長を続けてきました。
特に、これからの日本では人材不足の時代を迎えるため、社員の働き方や業務内容を柔軟にすることで、企業はより高い成果をあげられる可能性があります。
一方でこの「フレキシビリティ」を実現するためには、企業の存在目的が社員に浸透していることが重要です。
社員の多様な価値観を認めると社員が離れていく「遠心力」が働きます。そのため、自社の価値観を社員に理解してもらう「求心力」が必要になります。
サイボウズでは「感動課」という部署を設置し、社員を「感動させる」ことを使命として様々なイベントを行っています。社員を「感動させる」ことでサイボウズへの「求心力」を高めているのです。
強い組織作りのヒント1、社員どうしのコミュニケーション
強い組織作りには社員どうしのコミュニケーションが不可欠です。経営学者のバーナードは、組織が成り立つ「組織の3要素」を以下のようにまとめました。
- 共通の目的をもっていること(組織目的)
- お互いに協力する意思をもっていること(貢献意欲)
- 円滑なコミュニケーションを取ること(情報共有)
つまり組織がきちんと成り立つためにはコミュニケーションが不可欠なのです。最近では社員同士のコミュニケーションを増やすための企業が増えてきました。コミュニケーションを増やす取り組みとして以下のような施策が行われています。
- 社内のフリーアドレス化
- 飲み会補助制度
- 社内部活動の支援
- 運動会の開催
- 従業員主催イベントの支援
- チャット型コミュニケーションツールの整備
従業員の退職理由のトップ3に必ず入る理由が「人間関係」です。
やはり社員同士長時間、会社で一緒に過ごす関係ですので人間関係が円滑であることは強い組織の重要な要素です。また、社員同士のコミュニケーションが活発化すると、社員の会社への「ロイヤリティ」が高まります。このように、強い組織作りには社員同士のコミュニケーションが大切です。
強い組織作りのヒント2、モチベーションを上げる働き方
サイボウズのように、人事制度や評価制度を見直し、従来の概念にとらわれない働き方を導入することで離職率を低下させ強い組織を作ることができます。強い組織作りのヒントとして、アメリカの臨床心理学者であるハーズバーグが提唱した「2要因理論」があります。
ハーズバーグは組織における「働きやすさ」につながる要因を「衛生要因」、「働きがい」につながる要因を「動機付け要因」に整理しました。
「衛生要因」はそれがなくなると従業員の退職につながる可能性が高くなり、「動機付け要因」はそれがあることで社員のパフォーマンスが上がる可能性が高くなります。多くの企業は今まで、テレワークや育児休業の導入など「働きやすさ」の導入に注力してきました。
上場企業であれば充分な「働きやすさ」の制度が整っています。一方でパフォーマンスを上げるのは「働きがい」です。
最近、どの企業もこの「働きがい」を生み出す仕組みに注目するようになりました。社員に成長を実感してもらうために、1on1の仕組みや従業員表彰制度を導入しています。
他にはGoogleの20%ルールに代表されるように、勤務時間の一部を自分の自己研鑽のために使える制度があります。また、従業員の学習意欲にこたえるために書籍購入補助制度を導入する企業も増えてきました。
まとめ
このように、強い組織を作るためには従来の制度の枠にとらわれない新たな制度を考える必要があります。
従業員が会社にロイヤリティをもちつつ、自由な働き方を推奨することで従業員の離職を防止し、かつ多様な価値観を取り込んだ新しい組織の在り方を実現することができます。
「働きやすさ」ではなく、「働きがい」をキーワードに強い組織作りに取り組んでみてはいかがでしょうか。