面接が「一方的な選別」だった時代は終わりました。
自社に合う人物か見極めようと、これでもかと質問を投げかけたのに、求職者のほうから離れていってしまったという経験はないでしょうか。
面接官の態度によって、求職者の志望度は変わります。面接の態度が悪かったばっかりに、ブラック企業だとネットに書き込まれてしまうことも。なかなか優秀な従業員が獲得できない原因は、もしかしたら面接官にあるかもしれません。
求職者が面接官に求めること、もっているイメージを知って対策することは、面接の効果をひきだすのはもちろん、不要なトラブルを避けることにもつながります。
当記事を通して、良い面接官と悪い面接官の定義や面接官の心得について、今一度考えてみましょう。
求職者からみた「悪い面接官」
面接官が求職者を観察するのとおなじく、求職者も面接官を通してどんな企業か見極めようとしています。面接官のふとした行動が、求職者に不信感を抱かせるきっかけになるかもしれません。
求職者からみて、どのような面接官が「悪い面接官」なのでしょうか。
全ての回答に対して否定的
質問に対して必死に考えをめぐらせて答えているのに、そのたびに否定されていては、求職者が不快に思っても仕方ありません。否定を恐れるあまり求職者が萎縮してしまい、実力を発揮する妨げにもなるでしょう。
上から目線
ストレス耐性を見極めるための圧迫的な質問に関して、多くの求職者は快く思っていません。仕事でも同様に厳しく指導されるのではないかと考え、せっかく内定を出しても辞退されてしまう可能性があります。求職者からブラック企業と認定されるきっかけにもなりかねません。
質問項目を棒読み
面接に慣れていない面接官によくみられるケースです。最悪の場合、あらかじめ用意しておいたチェックリストの質問を投げかけることに必死で、求職者の回答をろくにきいていないこともあります。面接相手に興味がないと捉えられ、真剣な気持ちで面接に臨む求職者には悪い印象が残ってしまいます。
服装がだらしない
企業の顔である面接官にとって、服装を整えることは最低限のマナーです。ズボンからシャツが出ている、ネクタイが曲がっていることはもってのほか。清潔感のない企業に良いイメージをもつことはできません。
質問内容が差別的
家柄について質問したり、出産や結婚の予定を尋ねたりと、個人情報にまで踏み込む質問をしてしまった場合も、悪い印象は避けられません。就職差別をしている企業、モラルのない企業だと思われてしまいますので、仕事に関係のない質問は控えましょう。
連絡がない・遅い
ビジネスにおいて、期日や約束を守るのは常識です。入社するまでは求職者もお客様、面接も例外ではありません。求職者は、不安になりながら企業からの連絡を待っています。期日を過ぎてから連絡がくる、連絡がこない企業の印象は最悪でしょう。
良い面接は「自社の魅力が伝わる面接」
「この会社に入りたい」と思ってもらうには、自社の魅力が求職者に伝わらなくてはいけません。面接で自社の魅力を伝えるには、企業側の準備や工夫が不可欠です。
事前に応募書類を読み込んでおく
求職者が多い場合、全ての応募書類を読み込めない企業も多いでしょう。求職者の数にかかわらず事前に応募書類を読み込んでおくことで、興味をもっていることを伝えられるとともに、求職者からの信頼も得ることができます。面接に真摯に向き合っていることを伝えるためにも、最大限の準備はしておきたいものです。
話しやすい雰囲気をつくる
面接の際、求職者は緊張しています。堅苦しい雰囲気では求職者も萎縮してしまい、十分に本音をひき出せないかもしれません。雑談もはさみつつ話しやすい雰囲気をつくることで、コミュニケーションが円滑になり、求職者のプレッシャーを和らげることができます。
親身になって話をきく
求職者の話にしっかりと耳を傾けましょう。目をみて相槌をうち、共感しながら話をきくことで、誠実な企業だという印象を与えることができます。親身になって対応して求職者に信頼してもらえれば、選考で落ちてしまっても悪いイメージは残らないでしょう。
自社の良いところも悪いところも伝える
求職者に具体的な自社のイメージを伝えることも、面接における重要な目的です。求職者が自社に対して感じている懸念事項に対し、良いところだけでなく悪いところも伝えることで、ミスマッチを防げるとともに、求職者からの信頼も得ることができます。
「面接官の面接」をやってみよう
面接でのトラブルや会社のイメージダウンを防ぐためにはどうすれば良いでしょうか。
面接官も事前の面接練習が必要です。まずは、自分はどんな面接をしていて、どんな印象をもたれる可能性があるのかを知るために、面接官役と求職者役になり、録画して練習してみましょう。
チェックポイントは以下のとおりです。
- 服装はどうか。
- 声のトーン、速さはどうか。
- 表情はどうか。笑顔で接し、相槌を打って話をきいているか。
- 質問内容は適切か。
- 求職者の話のペースやトーンに合わせて会話をしているか。
- 求職者の回答に対し、興味をもっているか。
項目をチェックし、指摘し合うことで、何に気をつけて面接をすればよいかがみえてくるでしょう。
また、面接の一連の流れを練習しておくことで、当日にスムーズに進めることができます。一般的な面接の流れは次のとおりです。
- 挨拶。やわらかい笑顔で求職者を迎えます。求職者には緊張し、身構えて面接にくる方が多いので、できるだけリラックスできるように声をかけましょう。
- 導入。いきなり面接を始めるのではなく、求職者の趣味の話や世間話で場を和ませましょう。
- 面接。やわらかい表情を崩さずに面接を始めましょう。はじめは事前に作成した質問チェックリストに添いつつも、主旨からずれない程度で、求職者の回答によって臨機応変な質問も交えていきましょう。
まとめ
面接は企業が求職者を選別する場ではなく、”企業と求職者が互いにマッチする相手を探す場”です。そのことを念頭に置き、面接官も、面接官を通して企業も、求職者にみられていることを意識しなければなりません。
高圧的な態度で面接を続けていても企業のイメージが悪くならないほど、社会は甘くありません。悪い面接官に該当する項目があった企業は、すぐにでも改善しましょう。
面接は、企業を形成する従業員の入り口。入り口が整えば、企業全体も必ず良い方向へ変わっていくはずです。