Linkedinとは?日本でも再注目のSNSで求人・採用活動するには

LinkedIn 採用

日本では長らく流行らないといわれていたLinkedIn(リンクトイン)ですが、コロナ禍という背景もあって、いよいよ再注目され始めるようになりました。

大きく働き方が変わった今、求職者側においても求人側においてもソーシャルリクルーティングに期待する人は増えているはずです。オンライン面接も一般的になり、企業はインターネットを採用活動に取り入れない手はありません。

特に転職希望者においては会社を見る目もどんどん肥えてきているため、就職希望者のニーズにいち早く応え、積極的にSNSなどを活用して情報を発信していかないとマーケットから置いてけぼりをくらう一方です。企業の経営者や採用担当者などは「使えるものはなんでも取り入れる」という心持ちでいろんなツールを導入してみるのも人材確保の新しい手法でしょう。

LinkedIn(リンクトイン)とは

LinkedIn(リンクトイン)とは簡単にいってしまえば「ビジネスSNS」。まだローカライズされていない部分もあるとはいえ日本語にも対応しており、Facebookのビジネス版というとわかりやすいかもしれません。日本ではたとえば名刺交換などを済ませた後、Facebookで友だち申請するという方も少なくないですが、世界的に見るとFacebookはプライベート用として利用している方がほとんどです。

実際、日本でもプライベートな投稿とビジネスライクな投稿が混ざってしまって使い方に困っているという方もいるのではないでしょうか。外資系企業に勤めていたり、国際的に事業展開していたりする方でなくても、ビジネスアカウントはすべてLinkedInに集約させてしまえば、そういった悩みから解放されます。

もちろん個人に限らず、企業アカウントも同様です。ビジネスに関することはすべてLinkedInで完結させるという人が増えれば、就職、転職の際もそれを利用する人が増えます。つまり、求人、採用活動においてLinkedInを使うことは今後ますます有効になっていくはずなのです。

2003年5月にリリースされて以降、ユーザー数も順調に伸び続け、現在6億人を軽く超えています(2021年9月時点)。この数は実は、Twitterのユーザー数(約3億8600万人・2020年4月時点)よりも遥かに多く、それだけ支持されていることがわかります。

とはいえ、日本国内ユーザーはLinkedIn:200万人以上(2021年9月時点)に対し、Twitter:4500万人(2018年10月時点)と活発とはいえないのも事実。テレワーク、オンラインリクルーティングの波が広がる今、まさに注目度がじわじわと再上昇しているところです。世界規模で一般化しているLinkedInが使われていないことで日本のガラパゴス化が騒がれていますが、完全に孤立してしまわない内に取り入れてみてもいいかもしれません。

LinkedInを採用活動に活かすメリットは、個人と個人、個人と企業が気軽に繋がることができるという点。これによってダイレクトリクルーティングにおける双方の抵抗感が薄れるため、入社してほしい人を見つけたら積極的にアプローチをすることができ、しかもそれが受け入れられる可能性も高いのです。

なお、プロフィールには以下のような項目が表示されるので、採用を検討する材料としてはかなり広くカバーされているといってよさそうです。

  • 現在の勤務先
  • ポジション名(役職)
  • 勤務開始日
  • 業種
  • スキル
  • 最終学歴
  • 学位
  • 資格
  • 住所
  • 勤務先企業名
  • 役職
  • 免許について
  • 自身のキャリア・バックグラウンドについて
  • 得意とする言語
  • その他プロジェクトについて
  • 自己PR動画、画像、プレゼンテーションの追加
  • その他(過去の職務経歴、受賞歴など)

LinkedInが日本で再注目されている理由

LinkedInほかSNS

繰り返しになりますが、LinkedInが日本で再注目されるようになった背景にはやはり、コロナ禍という状況があります。端的に言ってしまえば、対面する機会が減ったことで、情報収集だけでなく情報発信において今まで以上にインターネットを使う頻度が増え、それによってSNS疲れに陥る人が増えたからだと考えられます。

たとえばTwitterは気軽に投稿できるのが魅力ですが、拡散しやすい・されやすい仕様から、少なからず注目されるために投稿内容を推敲したり、ちょっとしたキャラクターを演じてみたりするユーザーもいるのではないでしょうか。もちろんそれは悪いことではないですが、そういったことを続けて疲弊してしまっている人もいると思います。ご自身はそのつもりがなくても、TLにネガティブな投稿が増えたら、なんとなくSNSを使うこと自体が億劫になってきたということもあるでしょう。

またFacebookは、実名性SNSということもあり実際の友人や知人とつながっているというケースが多いようです。そのためTwitterよりも現実的な場だといえますが、それゆえになにか情報を発信してもそれが広まりにくいという側面もあります。

既存のサービスと比較してなにかを持ち上げるような表現は不適切だと思いますが、状況としては、利用していて疲れにくく(=他人と比べる必要がなく)、かつ開かれたパブリックな場としてLinkedInが再度注目され始めたといえるのではないでしょうか。

もちろん先に説明したような内容は裏を返せば、Twitterにはその拡散性からさまざまなアイデアを発信したり生み出したりする魅力があふれており、またFacebookにはクローズドで安心できる世界観が保てるという魅力があるといえるので、SNSはすべて使う人によって、あるいは時と場合によって見方が変わるものです。疲れたときはそのSNSを閉じてみたり、別のSNSに触ってみたりするのがいいということ、そしてその結果LinkedInが再注目されていると考えられるということです。

求人の際にLinkedInを使ってできること

さて、ではLinkedInで企業アカウント、もしくは経営者、人事担当者が個人アカウントを開設したところで、具体的に採用活動においてなにができるでしょうか。求職者が就職・転職活動中にできることも併せて解説します。

企業が求人・採用活動においてできること

ブランディング構築
企業、個人問わずアカウントを開設することで世界中から見られる可能性が広がるので、定期的に更新したりページを拡充したりすることで認知度上昇、ブランディング構築が可能。それに伴い、就職、転職潜在層にも自社を知ってもらうチャンスが得られます。もちろん求人掲載もできます。

ダイレクトリクルーティング
とにかく実名性の高いSNSなので、先に挙げたようなプロフィール情報をもとに自社が求める人物像にマッチした人がいないか検索したり、見つけた場合にはそのまま直接メッセージを送るなどコンタクトをとることができます。登録者と求人情報を自動でマッチングする「Sales Navigator」という機能もあるため、手間をかけずに要望どおりの人材を見つけることができるかもしれません。

リファラルリクルーティング
LinkedInは「つながり(フォローのようなもの)」を大事にしたサービスなので、従業員が先んじてアカウントを取得しているようであれば、企業アカウントとつながってもらい、知り合いなどから優秀な転職希望者を見つけることも容易く、求人サイトを利用するなど通常の採用活動よりもコスト、手間をかけずに人材確保できるチャンスがあります。

タレントプール
職種ごとに気になる方をプールできる機能が搭載されており、企業アカウント運用担当者はそのまま上長や人事担当者に共有することができます。なお、プロフィールページにアクセスするといわゆる「足跡機能」でそれが当人に伝わる設計になっていますが、実際にアプローチするまでは大ごとにならないように進めたいという場合は契約プランによってはわからないようにすることもでき、あるいはログアウトした状態で閲覧すれば知られることはありません。

求職者が就職活動においてできること

ビジネスにおけるスキルを可視化
前項でも触れたとおり、プロフィールページにさまざまな情報を掲載することができるので、履歴書感覚でキャリアシートが完成できます。自己アピールが苦手な方も設問に答える形で入力するだけなので、違和感なく最大限に自身の魅力を伝えられるかもしれません。

コネクションの構築
ビジネスに特化したつながりを整理して登録できるため、コネクション構築もしやすくなります。企業アカウントから直接スカウトメッセージが届いたり、逆に自身からアプローチしたりすることも従来よりスムーズであり、その時点では具体的に就職・転職に結びつかなくても人脈を広げることができるでしょう。上手くいけば訪問して話を聞くことや面接に発展できるかもしれません。

情報収集
タイムラインを見れば、つながっている人やフォローしている企業、インフルエンサーに関する情報が常にアップデートされています。最新情報を収集したり、トレンドを把握するのに役立つでしょう。気になるキーワードをフォローすることもできるので、知りたい分野について偏りなく知識を蓄えることができるようになります。

企業アカウントからのアプローチ方法

LinkedInはダイレクトリクルーティングに役立つと触れましたが、入社してほしい候補者を見つけたとき、実際にどのようにアプローチできるのでしょうか。

InMail

「InMail」は、繋がりのない相手に連絡するときに使われる機能です。無料プランでは利用できないので、有料プランに契約する必要があります。TOP画面右上の「プレミアムプラン無料トライアル」から、どのプランだとどの機能が使えるのか詳細を見ることができるので、まずは確認してからライセンスを結びましょう。

LinkedIn メッセージ

直接的に繋がりのある相手に連絡するときにしか使えないメッセージ機能。こちらは無料プランでも利用可能です。

コンタクト

LinkedInではやりとりする相手との繋がりの強さを「コンタクト」という名称で振り分けており、それによって連絡方法が変わります。

1次コンタクト
直接繋がりのあるユーザー=連絡も「LinkedIn メッセージ」で直接とることができる

2次コンタクト
1次コンタクトの方と繋がりのあるユーザー=つながりリクエストを送って1次コンタクトにするか、紹介リクエストを利用する、もしくはInMailで連絡をとる

3次コンタクト
2次コンタクトの方と繋がりのあるユーザー=検索した際にフルネームが表示される場合はつながりリクエストを送信可能、イニシャルのみが表示される場合はInMailで連絡をとる

グループメンバー
自身が参加しているグループのメンバー=LinkedIn メッセージ、またはグループディスカッションで連絡が可能

上記4種類以外のユーザーには連絡する術がありません。ある程度クローズドな環境だからこそ、企業から個人、または個人から企業、あるいは個人から個人へカジュアルに連絡がとれるわけです。

とはいえ、つながりを持ったユーザーが少ないと理想の人材に巡りあうことも難しくなってしまうので、気になる人がいたら積極的にアクションを起こし、ネットワークを広げていくことが大事でしょう。

日本でLinkedInが流行らなかった理由と今後の可能性

ここまでLinkedInの特徴を挙げてきて、一部の機能は有料プランでないと使えないにしても、求人・採用活動、就職・転職活動においてとても有益なツールだということがわかります。にもかかわらず、正直今まで大きく話題になることはなく、沈黙が続いていたのはなぜなのでしょうか。

就活サイトと認識されている
LinkedInは個人目線だと「就活サイト」という印象が強いため、一時的にしか必要とされていないというのが要因のひとつです。特に日本の場合、ベンチャー企業の拡大や働き方改革の影響もあり、転職という選択肢がかねてよりもカジュアルに受け入れられるようになりましたが、それでもまだ長期雇用が一般的だという考えが浸透しています。

海外ではLinkedInは「ビジネスSNS」という認識で広まっているため、就職、転職予定のない方も自身の可能性を広げる目的で利用しており、コネクション拡大やキャリア向上に役立てています。なお、転職予定のない個人ユーザーはスカウトメッセージが送られないように設定することも可能です。

自己アピールが得意ではない
謙虚であることが美徳とされる日本の文化では、あまり積極的に自己アピールをすることを好ましく思わない方もいます。LinkedInでは個人ユーザーを検索すると、真っ先に目に入るのはその人のキャリアや実績が並ぶプロフィールページ。大っぴらに自慢をすることに慣れていない日本人には使いにくいUIだといわれています。

ただ、現在では国民総SNSユーザーといえるほど、SNSが普及しており、「承認欲求」という言葉も日常的に使われるようになりました。もちろんLinkedInに今までのキャリアを記載することが自己承認欲求を満たす道具になるというわけではありませんが、ネット上に自身を紹介することに長けてきているのは事実であるはずです。

加えて、働き方の幅が広がった今、フリーランスや業務委託、副業といった道を選ぶ人はどんどん増え続けています。今まで正社員募集にしか力を入れてこなかったという企業も雇用形態の幅を広げることで、それがアピールポイントにつながり、それをLinkedInの企業アカウントに記載すれば感度の高い求職者の目に留まる可能性が高まるでしょう。優秀な人材とLinkedIn上でつながる機会が得られれば、従来の採用活動よりもリソースをかけずに人材確保できるかもしれません。

冒頭の繰り返しになってしまいますが、企業が求人時にやるべきことは、できる限りあらゆるツールを用いて優秀な人材と接点を作るチャンスを広げていくことなのです。

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