採用プロセスの多様化に伴い、人事担当者にかかる負担がこれまで以上に大きくなっています。応募者の管理や面接結果の整理、社内共有など、何かと手間暇のかかる管理業務に追われて本来の採用業務に注力できない、という経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、採用業務を効率化させるためのシステム「採用管理システム」について解説していきます。人事担当者の負担軽減だけでなく、コストの削減や採用力の強化も見込めるので、自社の採用活動に課題を抱えている方は、ぜひ導入を検討してみてください。
採用管理システムとは

採用管理システムとは、応募から内定に至るまでの煩雑な採用業務を一元管理するためのシステムです。英語表記の「Applicant Tracking System」を略して「ATS」とも呼ばれています。
製品によって使える機能や細かい特徴は異なりますが、導入することにより以下のような管理業務の効率化が期待できます。
・求人管理
採用HPの作成や求人媒体・採用メディアとの連携など、求人案件の作成・管理を行う機能です。複数の求人案件を1か所に集約できるため、応募者の取りこぼしなどを防止できます。
・応募者管理
応募経路、履歴書、職務経歴書、求人媒体に記載されているスキルなど、応募者の情報を一元管理できる機能です。多くの製品が厳重なセキュリティ対策を講じているため、個人情報を含む重要なデータの紛失・盗難リスクを軽減できます。
・選考管理
応募者ごとの対応履歴や選考の進捗状況、面接後の評価などを管理できる機能です。「Googleカレンダー」や「Outlookカレンダー」など、外部ツールと連携できる製品もあります。
・内定者管理
内定の通知や内定後のフォローなど、内定者とのコミュニケーションを円滑化させる機能です。内定辞退につながりやすい内定連絡の遅れやフォロー不足を防げます。
また、採用管理システムは、エントリー数や応募者数、途中辞退率、内定承諾率といった採用データを蓄積・分析できるケースも多いため、採用戦略の見直しにも役立てられるでしょう。
採用管理システムを導入する3つのメリット
では、実際に採用管理システムを導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここで、代表的なメリットを3つ紹介します。
①採用活動を効率化できる
②採用コストを削減できる
③人為的ミスを防止できる
詳しく見ていきましょう。
①採用活動を効率化できる
最大のメリットは、人材採用に関わる業務を効率化できることです。
従来の採用活動では、求人案件の作成や応募者情報の管理、提出書類のチェック、個別の電話・メール連絡、選考日程の調整、社内の情報共有など、多岐にわたる業務を人事担当者自身が対応しなければなりませんでした。
しかし、採用管理システムを導入すれば、一連の業務を自動化・効率化できます。選考の進捗状況や採用データを素早く集計・分析することもできるため、採用活動を進めていく過程で戦略をブラッシュアップしていけるでしょう。
②採用コストを削減できる
求人媒体の掲載費や人材紹介サービスの手数料、社内の人件費など、採用活動には多くのコストがかかります。自社の求める人材をスムーズに獲得できれば費用を抑えられるかもしれませんが、応募者不足や内定辞退などで時間がかかってしまうと、その分、費用もかさんでしまうでしょう。
その点、採用管理システムは業務効率化による採用活動期間の短縮が見込めるため、総コストを押さえられる可能性が高いです。応募から内定までの時間も短くできるため、途中辞退のリスクも減らせるでしょう。
③人為的ミスを防止できる
採用管理システムを活用すれば、応募者・内定者の情報をシステム上で管理できるため、メールの見落としや連絡漏れといった人為的ミスを軽減できます。製品によっては、タスク管理機能やステータス機能も搭載されているので、優先順位をつけながら無駄なく的確に業務を遂行できるでしょう。
採用管理システムの選び方

ここからは、採用管理システムの選び方について解説していきます。製品によって特徴が異なるため、以下3つの選定ポイントを参考に自社に合った製品を選んでみてください。
・採用ターゲット
・機能
・料金
1つずつ解説していきます。
採用ターゲット
自社に合った製品を選ぶためには、採用ターゲットを明確にすることが重要です。
採用管理システムには、新卒採用向けのものから新卒・中途採用の両方に対応したもの、アルバイト・パート採用を想定したものまで、幅広いタイプの製品が存在します。自社の採用ターゲットとシステムの得意分野がマッチしていないと、その製品の強みを最大限に活かせないため、採用戦略を構築してから製品比較を行いましょう。
機能
前半で採用管理システムの基本機能について紹介しましたが、細かい機能は製品によって異なります。選考フロー(求人管理、応募者管理、選考管理、内定者管理)の中で、どの領域を重視するかによって選ぶべき製品が変わってくるため、注力したい業務や最低限欠かせない機能を洗い出した上で、それをフォローできるような製品を選ぶようにしましょう。
料金
採用管理システムは、無料で利用できるものから利用人数に応じて料金が変動するもの、採用規模に関わらず一律料金で利用できるものまで、製品によって料金体系が大きく異なります。単価だけを参考に導入を決めてしまうと、予算をオーバーしてしまう可能性があるため、総コストを計算した上で比較するのがおすすめです。
無料あり!採用管理システムおすすめ7選
最後に、おすすめの採用管理システムを7つ厳選して紹介します。
・ジョブカン採用管理
・採用一括かんりくん
・HRMOS採用
・HERP Hire
・JobSuite CAREER
・Hirehub
・リクナビ HRTech
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ジョブカン採用管理

【主な採用ターゲット】
新卒採用、中途採用、アルバイト・パート採用
【料金】
LITEプラン:月額8,500 円~
STANDARDプラン:月額3万円~
※無料トライアルあり
【特徴】
「ジョブカン採用管理」は、シリーズ累計12万社以上(2021年9月時点)の導入実績を誇るバックオフィス支援クラウドサービス群「ジョブカンシリーズ」の1つです。あらゆる採用ターゲットに対応しており、新卒・中途採用からアルバイト・パート採用まで、幅広い用途に活用できます。
月額8,500 円~という比較的リーズナブルな価格設定でありながら、便利機能が満載。応募管理から選考管理、効果分析に至るまでのほぼ全フローを網羅している上に、面接日程調整業務を自動化する「AI日程調整」や応募者と円滑にコミュニケーションを取れる「LINE連携機能」なども搭載されているため、採用活動を効率的かつ効果的に進められるでしょう。
公式サイト:ジョブカン採用管理
採用一括かんりくん

【主な採用ターゲット】
新卒採用、中途採用
【料金】
月額2万円~
※無料トライアルあり
【特徴】
「採用一括かんりくん」は、新卒採用と中途採用をまとめて管理できる採用管理システムです。
「Googleカレンダー」、「Outlookカレンダー」、「Slack」、「Chatwork」、「LINE」、「Zoom」など、さまざまな外部ツールと紐づけることができるため、既存ツールと連携しながらスムーズに採用活動を進められます。オプション機能を網羅したプランから必要な機能だけをフォローしたプランまで、各企業の条件や希望に合わせたオーダーメイドプランを提案してもらえるため、カスタマイズ性の高さを重視したい方におすすめです。
公式サイト:採用一括かんりくん
HRMOS採用

【主な採用ターゲット】
中途採用
【料金】
お問い合わせ
【特徴】
「HRMOS採用」は、株式会社ビズリーチが運営する採用管理システムです。自社製品の「ビズリーチ」や「キャリトレ」をはじめ、幅広い求人媒体と連携できるようになっています。
最大の特徴は、データ分析に特化していること。蓄積された選考データを可視化・分析し、多様な観点から捉えられるため、採用活動を戦略的に進めたい企業に向いています。
また、直感的に操作できるシンプルなUIで誰でも簡単に操作できるのもポイント。ダッシュボードで、求人別の選考状況や直近の選考リスト、未対応のメール案件などを一目で把握できるようになっているため、タスク管理ツールとしても活用できるでしょう。
公式サイト:HRMOS採用
HERP Hire

【主な採用ターゲット】
中途採用
【料金】
お問い合わせ
※無料プランあり
【特徴】
「HERP Hire」は、経営陣や人事だけでなく、現場社員も巻き込んで採用の加速化を目指す「スクラム採用」を提唱する採用管理システムです。
20以上の採用媒体から自動で応募情報を取り込めるようになっていたり、ビジネスチャットツールや労務ソフトといった業務効率化ツールと紐づけられたりと、連携できる外部ツールが充実しているため、現場社員も大きな負担を抱えることなく、採用業務に参加できます。
職種ごとの採用進捗や応募経路ごとの実績、通過率など、選考に関するデータを瞬時に見える化できるので、高速でPDCAを回しながら、スピーディーに採用戦略を改善していけるでしょう。
公式サイト:HERP Hire
JobSuite CAREER

【主な採用ターゲット】
中途採用
【料金】
月額5万円~
【特徴】
「JobSuite CAREER」は、中途採用に特化した採用管理システムです。
大手企業からスタートアップ企業まで、幅広い業種・規模の会社で採用されており、2021年9月時点での導入実績は1,000社以上。長年にわたり培ってきた中途採用特有のノウハウを活かし、必要な機能だけを厳選して搭載しているため、無駄なくスムーズな採用活動が実現できます。
契約継続率95%以上(2019年3月時点)という高い数値から、顧客満足度の高さがうかがえる点も魅力的です。
公式サイト:JobSuite CAREER
Hirehub

【主な採用ターゲット】
中途採用
【料金】
無料
【特徴】
「Hirehub」は、エン・ジャパン株式会社が提供する採用管理システムです。
試用期間や登録人数に関わらず、全ての機能を完全無料で利用できます。面接の日程調整や選考進捗の確認ができる「選考管理機能」、応募者・人材エージェントとの連絡をシステム上で完結できる「メッセージ機能」、複数の候補者の優先度を可視化する「評価機能」など、必要な機能はほぼ網羅されているので、コスト負担なく導入したい方におすすめです。
公式サイト:Hirehub
リクナビ HRTech

【主な採用ターゲット】
中途採用
【料金】
無料
【特徴】
株式会社リクルートが手がける採用管理システム「リクナビ HRTech」も無料で利用できる製品の1つです。複数のエージェントから届く応募者情報を自動登録できたり、各応募者の情報や選考状況を一覧で管理できたりと、採用業務に必要な機能を余すことなく搭載しています。
また、シンプルな画面設計で、誰でも簡単に操作できるのも特徴の1つ。選考データの収集・分析機能もあるため、分析結果をもとに選考プロセスを改善していくことができるでしょう。
公式サイト:リクナビ HRTech
まとめ

今回は、採用管理システムについて解説してきました。
有料製品を導入する場合は多少の運用コストも発生しますが、採用業務で時間の取られやすい領域を自動化・効率化することで、人事担当者の大幅な負担軽減と生産性の向上が期待できます。また、選考データを素早く収集し分析することも可能になるため、より質の高い採用活動を進められるようになるでしょう。
後半でお伝えしたように、採用管理システムの中には無料で始められる製品や無料トライアル期間を用意している製品もあるので、少しでも興味の湧いた方はお試し感覚で気軽に利用してみてはいかがでしょうか。