明日起きるかも?人事が知っておくべき風評被害対策とは

職場環境

近年では企業のPRもインターネット、SNSを利用することが当たり前となってきました。一般への普及が拡大するにつれて、問題となっているのがネット上で起こる「風評被害」です。最近では個人に対して向けられる場合もあり、その影響について様々な意見が取り交わされています。

誰にでも起こりうる「風評被害」

企業とは様々な思考を持つ人が行き交う場所です。従業員はもちろん、社外の取引先、また顧客もそうです。万人から100%良いイメージを持たれることはほぼ不可能ですが、少しでも企業イメージを上げていくという認識を統一し、一人一人が接する人には丁寧な対応を心がけていくだけでも結果は違うモノとなるでしょう。そういった認識が統一されないままだと、人によって対応に差が生まれ、風評被害の対象になってしまいます。

ネット上で企業が誹謗中傷を受けてしまった際の悪影響は計り知れないものです。直接関係がない他者でも、内容に共感してしまえばすぐにその情報を拡散してしまいます。対策を取らなければ致命的な自社のイメージダウンにつながり、それは人材採用にまで悪影響を及ぼしてしまう可能性もあります。

企業が営利目的などでネット利用することについては、ポジティブな面が多いことは確かです。風評被害がもし起きてしまったとしても最小限に、または未然に防ぐことができるようにリスク対策を同時に行っていくべきでしょう。

この記事では、企業のとるべき風評被害対策についてご紹介していきます。

企業における風評被害とは?

「風評被害」とは、根拠のない噂や不適切な報道によって受ける経済的な被害、損害。または無関係な個人や団体が世間で悪いイメージを植え付けられることを言います。

実際に以下のような企業の風評被害事例が次々と起きているそうです。

・元従業員が悪意のある会社評価を口コミサイトに書き込んでいた。

・従業員が顧客の個人情報をSNSに投稿し、炎上してしまった。

・事実無根のネガティブなことを報道され、会社のイメージダウンにつながり業績悪化。

業種によって起こり得る事例は異なりますが、最悪の場合は倒産へ追い込まれてしまう場合もあります。ただし、このネット社会においてどのような企業でも100%リスクを避けることは難しくなっているのが現状です。SNSやネット掲示板は匿名で投稿できるのに加え、無意識のうちに批判的な言動の書き込みをする人も多く、企業がそれをコントロールすることは不可能だからです。

「炎上」という言葉をご存知でしょうか?SNS上で使われるインターネット用語です。企業や著名人の発言に批評や悪評が集まり、ネット上で騒動が起こること指します。情報において事実かどうかは他人には関係なく、あっという間にその情報は拡散、拡大されてしまいます。根拠のない噂やデマ、信憑性に欠ける情報でも炎上が起きてしまえばすぐに鎮火するのは難しいのが現状です。

採用における口コミサイトの増加

求職者は企業の口コミサイトから情報を得ることが多く、就職活動において一般的なこととして今では認知されています。求職者向けの口コミサイトは増加していて、採用活動の意思決定に大きな影響があることは言うまでもありません。

採用に関しては「ブラック企業」というイメージを持たれてしまうことに注意すべきです。一度ブラック企業というレッテルを貼られてしまうと、拭うまでに相当な時間と労力を費やすことになってしまうかもしれません。企業にとって人材は大切な資源です。採用がうまく回らなくなれば業績の悪化につながる可能性もあるでしょう。

企業の採用活動への悪影響

具体的に採用に及ぼす悪影響としては、まず応募者数の減少が考えられます。風評被害で会社に対しての信頼が損なわれれば、内定辞退を検討する者が増える可能性もあります。また在籍従業員がそれを見たらどのように思うでしょうか?猜疑心が芽生え、業務へ支障をきたすかもしれません。また、会社への不平不満が徐々に募ることも考えられます。

風評被害が原因で離職されてしまい、新たに悪意のある口コミが増えてしまうという悪循環になってしまうこともあり得るでしょう。退職者で減った人員を補充するために求職者を募ろうとしても、インターネット上での企業イメージが悪ければ応募が減り、人員を増やすことが難しくなります。ネット上の情報は誰もが簡単に保存やコピーをすることができるため、デジタルタトゥーとも呼ばれ、一度ネットにアップロードされたら最後、半永久的に爪痕を残すことになります。

このようなことが循環し、どんどん企業イメージやブランドが低下してしまうのです。こうなってしまうと、もし求職者が企業に興味を持っても応募まで至らないことが増えてしまい、結果的に人材が集まりづらくなってしまうのです。

風評被害に遭う前にできること

それでは企業における風評被害を防ぐためには、どのような対策をとるべきでしょうか?

社内でネットに関してのルールやSNS投稿へのガイドラインを設けることも大切ですが、まずは普段から経営の仕方や働き方、取引先への対応の仕方などに気を配り誠実な対応を続けることが重要です。ここが意識できていないと、他のどんな対策を行っても意味がありません。

また、企業は日々“見られている”という客観的な視点を意識しながら経営する必要があります。企業として周囲にどのような印象を与えているのかということに気を配り、どのようなイメージを持たれたいのかということを企業ブランディングも兼ねて検討していくことで、風評被害の種を限りなく減らすことができます。まさに「火の無い所に煙は立たぬ」ですね。

風評被害に遭った後にできること

実際に風評被害に遭ってしまった場合でも打つ手はあります。

ネットへの書き込みは安易に削除することはできません。プロバイダ責任制限法3条という発信者情報の開示に関して定めた法律があり、そこには情報の削除を求めることのできる権利を定めたものではないとされています。

総務省|インターネット上の違法・有害情報に対する対応(プロバイダ責任制限法)|プロバイダ責任制限法Q&A

そのため、悪質な風評被害に遭ったときには、まず自社でサイト管理者に削除依頼の連絡をします。各サイトのルールにのっとって手続きを行っていくことが一般的な対応方法ですが、すぐに返信がなかったり、手続きが複雑で証拠の書類を求められたりすることもあるそうです。慣れていないと時間と労力がかかる作業であることは確かです。専門窓口に相談する、実績や経験のある弁護士に依頼をすることも検討するべきでしょう。

時代のIT化の流れを汲みとり、企業として発信をしていくオウンドメディアを運営するのも有効な手段です。求職者が一番知りたいのは、会社内部の情報はもちろん、どのような人たちがどのような理念の下に居るのか、その企業の“在り方そのもの”だと思います。そのため、外部の口コミサイト、匿名のSNSなどに負けない強いメッセージを企業自身が発信し続けることが、悪質な風評被害に対する一番の対策になると言えます。

この記事を書いた人
WAKABAYASHI Aya

東京在住。海外留学経験後、小売・美容業界からWEB業界へ転身。アナログとデジタルを分け隔てなく愛する筆者の最近のブームに家庭菜園があります。企業も人も手間暇かけて育てていくことが大切ですよね。

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